〈53〉メタボからフレイルへ 筋肉増やし健康生活


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 1985年に世界1位の平均寿命を誇った沖縄が、2000年には男性が4位から26位に順位を落とし「26ショック」と言われて、20年がたちました。その間、2006年にメタボリック症候群の診断基準が発表され、08年に特定検診(メタボ検診)が開始されました。肥満が多く、飲酒による肝機能障害や、メタボに伴う糖尿病や高血圧、脂質異常症、動脈硬化性疾患(脳卒中、狭心症など)の問題が浮き彫りとなり、夜型社会や車社会、欧米食文化などが原因であることは周知のことと思います。

 今や、健康に関することを含めさまざまな情報の伝達が瞬時に行き届き、関係者の尽力により、最近、生活習慣の見直しが徐々に進んでいるように思います。野菜からまず食べて量をたっぷり取るとか、適度に糖質を減らしたり、ウオーキングを始めたり、さまざまな工夫がなされているように見受けられます。

 糖尿病一つをとっても、SGLT―2阻害剤やDPP4阻害剤などの経口薬の進歩や、インスリン使用時の血糖測定も持続式の血糖モニタリングの機器が開発され、きめ細かい血糖管理が可能になっています。血圧管理、脂質管理も幾多の合剤も発売され、各ガイドラインも整っています。働く世代の方々も気後れすることなく検診を受け、早期発見、早期治療によって事なきを得て、さらには生活習慣改善で未病で抑えていただければと思います。

 では、どのくらい高齢になれば、メタボの取り締まりを免除されるのでしょうか。近年、サルコペニアやフレイルという概念が登場し、筋肉量、運動能を評価の軸として健康生活が延伸するといわれています。概して、65~75歳の間でメタボを卒業し、フレイル対策にギアチェンジする考えにシフトしつつあります。「痩せる」を目指すのではなく、肉、魚、乳製品、卵、大豆などのタンパク質を取りつつ、ウオーキングなど有酸素運動と週2~3回のレジスタンス運動が効果的です。皆さま、百寿に向けて頑張りましょう!

(下地國浩、豊崎メディカルクリニック 内科)