平和へ祈り千羽鶴託す 鳥取の中学、読谷・楚辺に コロナで修学旅行断念


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 【読谷】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、沖縄への修学旅行を断念した鳥取県南部町の法勝寺(ほっしょうじ)中学校3年生80人が、平和への祈りを込めて折った千羽鶴を読谷村楚辺の子ども会活動を支援する父母組織「あけずの会」に託した。楚辺地区と鳥取県米子市淀江町宇田川地区(稲穂の会)は30年にわたり交流を続けており、その縁で実現した。あけずの会の池原栄順会長らが終戦記念日の15日、糸満市伊原のひめゆりの塔を訪れ、託された千羽鶴を供えた。

法勝寺中学3年生とあけずの会会員で折った千羽鶴を供える同会の仲宗根求さん(左)と比嘉利枝子さん=15日、糸満市伊原のひめゆりの塔(同会提供)
折り紙で鶴を折る生徒ら。千羽鶴のメーキングDVDもあけずの会に贈られた(DVDの一場面)

 同校では平和学習を重んじ、沖縄への修学旅行が毎年恒例となっている。生徒らは2年時の3学期から沖縄の歴史や戦争について調べ、修学旅行では実際に戦跡を回り学びを深めているという。当初4月19日から3泊4日を予定しており、いったんは10月に延期したがコロナの収束のめどが立たず断念した。
 昨年の修学旅行に同行し、自ら戦跡を歩いた黒見隆久校長は「3年生にとっては残念だが、引き続き生徒と一緒に鳥取から戦争と平和の意義について学びたい。読谷の人との心のつながりにも感謝したい」と述べた。
 一方、生徒らの思いを託されたあけずの会でも一緒に千羽鶴を折ろうという声が持ち上がり、会員みんなで取り組んだ。池原会長は「平和とは尊い互いの生活を大事にすることで、世界共通の願い。この願いをそれぞれの地域へ持ち帰り、新たな平和創造活動ができれば」と期待した。同会会員の中田耕平さんは「人と人とのつながりが一緒に平和を願い、考える機会を生み出した。あらためて交流の素晴らしさを知った」と述べ、今後も鳥取県との多角的な交流が続くことを願った。 (当銘千絵)