娘2人が感染し車中泊「3日で限界」 自宅療養での隔離に父苦悩


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
4歳と6歳の娘2人が感染し、自宅療養する男性の自宅。車中泊も限界で小さな子どもがいる家庭での自宅療養の難しさを語っている(提供写真)

 中部保健所管内で暮らす30代男性の家庭では、幼稚園に通う6歳と保育園に通う4歳の娘がそれぞれ新型コロナウイルスの陽性と確認された。男性と妻は濃厚接触者となり、8月末までの自宅待機となった。保健所は自宅療養の対応として寝室を別々にし、共用部分の消毒徹底を呼び掛けるが、男性は「小さい子どもがいる家庭は絶対できない」と頭を悩ませる。家庭内感染を避けるため、車中泊に追い込まれた。

 8月上旬、4歳の娘が発熱し、PCR検査で陽性が確認された。家族全員と実家の祖父母も濃厚接触者となり、PCR検査を受けると6歳の娘も陽性で、他は陰性だった。「宿泊施設は保留させてほしい」と保健所から回答があり、自宅療養を余儀なくされた。家庭内感染が起きかねない。不安が募った。

 当時、感染者用の宿泊療養施設は本島内に那覇市内にのみ確保されていた。さらに小さい子どもだけでは利用することもできない。妻は感染を覚悟し、自宅で娘2人に付き添うことを決めた。男性も感染しないよう車中泊をした。自宅アパートや実家の各駐車場で寝泊まりしたが、暑くて寝付けなかった。クーラーを付けるため、エンジンをかけたままでガソリン代もかさんだ。「3日が限界だった」と自宅に戻った。

 予想した通り「自宅内隔離」はままならなかった。予防のため離れようとしても、娘たちは男性にくっついてきたり、おもちゃを触ったりした。マスクを着けたがらない。濃厚接触者も隔離できる施設はないのか。男性はそんな思いを抱いた。

 県は家庭内感染を防ぐポイントとして(1)部屋を分ける(2)感染者の世話は限られた人数で―などの注意事項をまとめている。これらについて、小さい子どもがいる場合、男性は「実行はほぼ不可能」と指摘した。今も自宅で子どもたちと過ごす男性は「無症状だけど感染している可能性はある。仮に自分か嫁のどちらかが症状が出た場合、同じことが続く。切りがない」。子育て世代に合わせた別の指針が必要ではないか。この自宅療養が続けば、日常がいつ戻るのか分からない。男性は歯がゆさを感じている。 (阪口彩子)