「危機感だけあおった」「『尖閣守る』に感動」 安倍首相辞任に石垣、宮古から対照的な声


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
陸上自衛隊宮古島駐屯地=2019年4月9日、宮古島市上野千代田(小型無人機で撮影)

 【宮古・石垣】安倍政権下で陸上自衛隊配備計画が進んだ宮古島と石垣島では、首相の実績に対し対照的な声が上がった。

 ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会代表の仲里成繁さん(66)=農業=は近隣諸国との関係を挙げ「危機感だけをあおり、外交で問題解決しようとする努力が見えなかった」と指摘。陸自配備について「自民政権が続く限り強行は変わらないだろう。反対運動を続けていくしかない」と語った。

 石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会共同代表の金城哲浩さん(65)=農業=は「辺野古でも、そして石垣島でも一方的に計画を進めてきた」と批判する。「住民投票の訴訟でも不当判決が出て、三権分立があるか分からない状態だ」とやりきれない思いを語った上で、「本当の民主主義が果たされる政治を期待したい」と話した。

 一方、八重山防衛協会理事で自営業の崎原毅さん(63)は「(2013年に)島に足を運んでくれた安倍首相の『尖閣を守り抜く』との表明に感動した。その言葉通り、尖閣諸島を警備する海上保安庁の態勢は強化された」と語る。「抑止力を高めるため、南西諸島で陸自配備も進めてくれた。高く評価しているので、辞任はもったいない」と残念がった。

 安倍首相の辞任で陸自配備計画の見直しを期待する声もあるが、宮古島市内の30代男性会社員は「首相が変わって白紙撤回するとなれば、ますます政治不信は強くなる」と話した。