沖縄、コザの老舗ホテルの挑戦 新社長が就任 「上質のB級」精神でコロナ乗り越える


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
前社長の宮城勝さん(左)から事業を引き継いだ大田誉社長=19日、沖縄市中央

 【沖縄】沖縄市中央の老舗ホテル「デイゴホテル」の新たな社長に南西観光ホテル(那覇市)の大田誉(ほまれ)さん(48)が1日、就任した。前社長の宮城勝(まさる)さん(65)=現相談役=から事業を引き継ぎつつ、ホテルの新たな魅力づくりに向けて意気込んでいる。

 同ホテルは1966年に創業し、米軍関係者向けの宿泊施設としてにぎわった。ホテルが生活の場でもあった宮城さんは「ドル紙幣や英語が飛び交う、まさに『リトルアメリカ』だった」と振り返る。復帰後は基地経済の縮小や思いやり予算による基地内の住宅整備に伴って、宿泊客が激減した。

 その後、日本人旅行者や地元客向けに施設整備を行い、スポーツ合宿の受け入れに取り組み、経営の立て直しを図った。現在も多くのスポーツ関係者や地元客が同ホテルのリピーターとなっている。

 後継者を探していたという宮城さんが県事業引き継ぎ支援センターに相談し、南西観光ホテルと事業譲渡の合意に至った。宮城さんは「家族で事業を継承している点や那覇市の激戦区で業績を積み上げてきた経験から、新しい未来を開いてくれると期待している」と話した。

 デイゴホテルのキャッチコピーである「上質のB級ホテル」に引かれたという大田さん。「困難を乗り越えたしたたかさや気概に感銘を受けた。この精神を大事にしながら新たに事業を展開していきたい」と意気込む。デイゴの花言葉「夢、活力、生命力」になぞらえ、「新型コロナ禍の厳しい状況だが、希望を持って乗り越えたい」と前を向いた。