「コロナかも」不安解消へ 無症状接触者に検査 奔走する那覇市の医院


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「ドライブスルー方式」で患者から検体を受け取る「曙クリニック」の玉井修院長(右)=5日午前9時、那覇市

 沖縄県は7日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査の拡充を始めた。県内での爆発的な感染拡大の影響で制限していた無症状の濃厚接触者についても県内約140の協力医療機関で検査が受けられるようになった。「コロナかもしれない」。そんな県民の不安を解消するため、検査協力医療機関としてコロナ対策に奔走する那覇市内の医院が取材に応じ、現状を明かした。

 5日午前9時。那覇市曙の「曙クリニック」の駐車場に1台の車が乗り付けた。医療用手袋とマスクを着用した玉井修院長が運転席に座る男性に声を掛ける。「検体を出してください」。玉井院長は、専用の容器に入った検体を車窓越しに受け取り、発泡スチロール箱に入れた。

 「コロナではないか」。本島中部に住む男性(33)が同院を受診したのは4日午後。男性は37度台の熱が1カ月間続き、関節痛や寒気もあった。検診した玉井院長は、患者自身が検体採取できる「唾液PCR検査」のキットを手渡し、翌朝持参するよう伝えた。受け渡しは「ドライブスルー方式」。院内では他の患者と接触しないよう動線を確保し、問診もアクリル板越しに行う。玉井院長は「感染リスクを極力なくすための対策だ」と説明する。

 同院では保険診療でPCR検査が受けられるようになった8月から、体制を整えてコロナ感染が疑われる患者への対応に当たっている。受け入れるのは症状が軽い患者のみで「症状が重く、緊急性が高い患者は救急病院を受診するよう指示している」(玉井院長)。検体は毎日午前中に那覇市医師会の職員が回収し、県外の提携医療機関に届けられる。検査結果は2~5日程度で判明するという。

 同院ではこれまでに30件の検体採取を実施。PCR検査が拡充した7日からは約140の医療機関で同様の取り組みが始まった。県民にとっては、感染の不安が緩和される取り組みだ。

 ただ、玉井院長は「検査数が増えても検査技師の数には限りがある。技師への負担増への対応も問われてくる」とも。今後は、限られた医療リソースの活用という課題も出てきそうだ。(安里洋輔)