【深掘り】政策参与、亀浜氏起用に広がる波紋 沖縄県議選、宮古市長選絡みとの声も亀


社会
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浜玲子氏(左端)に政策参与の委嘱状を交付する玉城デニー知事=7日、県庁

 前県議(宮古島市区)の亀浜玲子氏が県の政策参与に任命されたことが波紋を広げている。亀浜氏は今年6月の県議選への出馬に意欲を示していたが、国仲昌二氏=現職=との革新分裂を回避するため出馬を辞退した経緯があり、与野党からは県議選との「バーター」との指摘や「県政の私物化」などと批判が相次いでいる。一方、地元からは「来年1月の宮古島市長選を見据えた地ならしではないか」との臆測もある。

 7日、県庁で行われた委嘱状交付式で亀浜氏は県議選とのバーターとの臆測があることについて「そういった話は事前にない。選挙後に知事と離島のことについて意見交換する中で(政策参与の)話が出た」と否定した。ただ、今回の件について県幹部の一人は「県議選の対応」として亀浜氏を政策参与に起用したとの認識を示す。

 一方、県秘書課は本紙の取材に対し「離島振興や女性の地位向上の分野で政策を提言する参与が必要となり、これまでの経歴や実績から亀浜氏が適任と判断した」と説明した。

 県議選を巡っては、当時現職だった亀浜氏のほか、市議だった国仲昌二氏を推す声もあり候補者の一本化に向けた作業が難航。オール沖縄会議共同代表で県政策参与の照屋義実氏と政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」共同代表の金城徹氏の2氏が調整に乗り出し、最終的には玉城知事立ち会いの下、国仲氏への一本化を決めた。

 与党幹部によると、一本化の過程で亀浜氏を政策参与に起用する人事案が浮上していたという。

 一方、地元宮古島を中心に亀浜氏の政策参与起用を来年1月17日投開票の宮古島市長選と結び付ける向きがある。玉城知事を支える「オール沖縄」勢力は今月に入り、候補者擁立に向けた協議を始めた。地元のオール沖縄関係者からは亀浜氏が市長選の候補として浮上していることを念頭に「亀浜氏が候補から外れて知事サイドが候補者選考の主導権を握ったとの意思表示ではないか」(市政与党関係者)との声も漏れる。
 (吉田健一、佐野真慈)