辺野古周辺海域でジュゴン鳴き声か 国環境監視委で報告 目視や食痕はなし


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滅危惧種のジュゴン=2008年3月、名護市嘉陽沖(ヘリから撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で沖縄防衛局は8日、第28回環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大大学院教授)を那覇市のホテルサンパレス球陽館で開いた。今年2月以降に天然記念物ジュゴンの鳴き声らしき音が水中で録音されている嘉陽沖の「K4」地点に続き、南側にある「K5」地点でも同様の音が6月21日に確認されたことを報告した。ジュゴンは海上工事が本格化して以降、周辺海域から姿が見えなくなっている。防衛局は工事とは無関係だとしており、今後も生息状況の調査を続ける方針。

 K5地点で音が確認された6月21日は工事が行われていなかった日曜。上空や水中からの確認では、ジュゴンの姿や海草の食痕は見つかっていない。

 防衛局はこの日の委員会で、工事による環境影響を県に報告する2019年度の「事後調査報告書」の案を提示した。委員会後に記者会見した中村委員長は「目標に沿った成果が得られているというのが委員の共通した認識だ」と述べ、内容を大筋で了承したことを明らかにした。委員からは文言の変更や記載する情報の追加などを求める意見があった。

 K4地点で4月以降に確認されたジュゴンの鳴き声らしき音は、東風が吹いている日に確認される傾向があり、防衛局は何らかの衝突音や機械音の可能性もあるとみて調査をしている。一方、K5地点で音が確認された6月21日は南風だった。風向きとの関係について中村委員長は観測日が1日だけであることに触れ「位置関係からはこうだと断定はできない」とした。