軟弱地盤改良で工期が大幅長期化 海砂採取量は沖縄県内2年分 国「調達は可能」


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 沖縄防衛局は設計変更申請に、大浦湾側に広がる軟弱地盤に対応する地盤改良工事を盛り込んだ。従来の大規模な埋め立てに加えて地盤改良工事が行われることにより、環境負荷が増大するのは不可避だとみられている。

 地盤改良工事の必要が新たに生じたことにより工期は大幅に長期化することになった。防衛局は工期を少しでも短縮するため、周辺に濁りが拡散しないように護岸で埋め立て海域を囲い込んでから土砂を投入する当初計画を変更した。一部海域は護岸で締め切る前に土砂を投入する「先行埋め立て」を実施する。防衛局は先行埋め立てに伴い、汚濁防止膜を追加で展張して環境保全を図るとしているが、環境専門家はサンゴなどの生息に影響を与える水質の濁りが拡大すると指摘している。

 新たに行う地盤改良工事に使う海砂について、防衛局は県内調達が可能だとしている。地盤改良とケーソン護岸の中詰工に必要な海砂は、合計約386万立方メートルと試算した。これは沖縄の年間海砂採取量の2年分を超える量になる。短期間で大量の海砂を採取することによる沿岸部の環境破壊も指摘されている。

 埋め立てに使う土砂の採取地は当初計画では県内で北部地区と国頭地区だったが、変更申請では糸満市(南部地区)やうるま市宮城島、宮古島地区や石垣島地区、南大東地区なども追加し、全県に拡大した。外来種侵入防止のために県外からの土砂搬入を規制する県の「土砂条例」を回避する目的とみられるが、鉱山などからの土砂採取が全県で加速することによる影響も指摘されている。