カギは地元客の獲得 今後の出店戦略は? ロフト社長・安藤氏<焦点インタビュー>


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 生活雑貨店「ロフト」(本社・東京)が6月、北中城村のイオンモール沖縄ライカム、豊見城市のイーアス沖縄豊崎の2店舗を立て続けにオープンさせ、沖縄進出を果たした。安藤公基社長に、今後の出店戦略などを聞いた。

 ―沖縄の2店の感触は。
 「良すぎるというくらい良い。出店前の当初計画と比べ、豊崎の売上高は約200%、ライカムは約150%を達成している。土日の売り上げは1日300万円を超えている。特にライカムは客単価が2800円と高い。地元のファミリー客が非常に多く、買い物を楽しんでいる。豊崎の客単価は2300円でロフト全体の平均と同程度だが、店舗面積約千平方メートルの標準店としてはかなり良い。売れ筋商品は全国の売れ筋と変わりなく、家庭用品のシェアが高い。生活に根差したニーズに応えられていると思う」

 ―新型コロナウイルス感染症の影響は。
 「ロフト全体で4、5月はひどかった。入居している商業施設の休業などで、全国128店舗のうち3店舗しか営業ができなかった。インバウンド(訪日外国人観光客)の免税売り上げはもともと4~5%程度だったが、ここが戻るまでには1年程度はかかると考えている。海外旅行ができない分、日本人がお金を国内で使ってくれれば、そこまで落ち込まないとみている」
 「沖縄の2店舗は、豊崎店は隣のアウトレットモールあしびなーから回遊してくるインバウンド客を想定していたので心配したが、近隣客などで予想よりも好調に推移している」

 ―沖縄に進出した理由は。
 「東急ハンズの年商がとても高いと聞いていた。八重山の物産を見に何度か足を運んでいたが、沖縄は若い人が多く出生率も高く勢いがある。出店したいと思っていた。ただ、やはり遠隔地なので物流コストがかかる。一つの店舗だと滞留してしまうので、2店舗はほしいと考えていた。タイミング良く2店舗を6月に開けて良かった」

 ―今後の県内での出店計画は。
 「那覇市のおもろまち近辺に、単独店舗で3店舗目を出したい。県外から移り住んだ人も住みたがる街と聞いている。ロードサイド店舗にも興味がある。いずれにせよ、観光客相手の商売をするつもりはないので、いかに地元客を獲得していけるかが鍵になる」

 ―差別化をどう図っていくのか。
 「ロフト志向のお客さまには女性が多い。味気ない短時間の買い物ではなく、面白いものはないかと探すこと自体を楽しむ時間消費型の傾向が強い。いるだけで楽しい店作りをして、買いやすさと楽しさを両立することを意識している。いろいろな好みに合わせた選択肢を、いかに増やしていけるかが大事だと思う」
 (聞き手 沖田有吾)