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慢性頭痛の一つに「群発頭痛」がある。人類最悪の痛みと言われるほどの激痛を繰り返すが、医師の間でもよく知られていなかったこともあって正しく診断されるまで平均7年かかったというデータもある。最近は患者さん自身がウェブ検索をしてこの病名を疑い受診することも多い。
症状の特徴は片方の目の奥から側頭部にかけての激痛があり、毎晩深夜決まった時間に始まり1~2時間すると自然におさまる。頭痛発作の最中は痛む側の目から涙が出たり充血したり、痛む側の鼻が詰まったり鼻水が出たりする自律神経症状を伴う。頭痛は1~2カ月の間、ほぼ毎日1~2回生じるが期間が過ぎると全く頭痛はなくなる。
群発期は1~2年に1回、同じ時期に起こることが多い。群発期に飲酒すると必ずと言っていいほど頭痛が起こる。狭心症の治療に使われる亜硝酸薬も必ず頭痛を誘発するので主治医の先生とよく相談することが大事である。
人によっては頭痛と認識せず、痛みは上顎(じょうがく)大臼歯、鼻、耳などにも起こるため、歯科、耳鼻科、眼科を受診する患者さんも多いと聞く。
群発頭痛の原因は、遺伝的素因が推定されているがまだよく解明されておらず、脳内の視床下部、三叉神経、自律神経系の異常といわれている。
診断に関しては、他の重篤な疾患と区別するため、初めての頭痛発作の時には頭部CTやMRI検査が必要である。脳神経内科か脳神経外科への受診をお勧めする。日本頭痛学会のホームページに頭痛専門医が記載されているので参考にしてください。
慢性頭痛の診療ガイドラインによると、頭痛発作期はスマトリプタン3ミリグラム皮下注射が勧められる。また純酸素7リットル/分で15分間吸入も有効とされている。予防療法では、ベラパミル240ミリグラム/日が予防効果を示すが、心伝導遅延作用による除脈や心不全の合併が問題となる。酒石酸エルゴタミンの就寝前の予防内服は有効なこともある。
(稲福徹也、稲福内科医院、神経内科)