県議会9月定例会は25日、代表質問2日目が行われ、与野党7議員が登壇した。玉城デニー知事は国籍や人種、性別、性的指向などを理由とする差別の解消に向け「性の多様性宣言(仮称)や不当な差別的言動の解消に向けたいわゆるヘイトスピーチ規制条例の検討も行っている」と述べ、自身が公約に掲げる「誰一人取り残さない共生社会」の実現に取り組む姿勢を改めて示した。山内末子氏(てぃーだネット)への答弁。
県は第6次県男女共同参画計画の策定に向け、性の多様性に関する質問項目も盛り込んだ「男女共同参画社会づくりに関する県民意識調査」を9月末締め切りで現在実施している。その調査結果も踏まえ、性の多様性宣言の方向性について具体的に検討していく。
米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設について、知事の姿勢を問う質問も相次いだ。玉城知事は、上原章氏(公明)の質問に「那覇軍港の返還は基地負担の軽減や跡地の有効利用による発展に寄与する。経緯を踏まえ浦添移設を認めることになる」と答えた。
その上で「いかにも軍港の移設がメーンであるかのような県民の捉え方があるが民港計画を立てることが大変重要だ」と強調した。
世界の県系人とのつながりを深める拠点「世界のウチナーンチュセンター(仮称)」の設立について渡久地一浩文化観光スポーツ部長は「過去に類似施設の建設が計画されたが、廃止された。移民の歴史継承の趣旨を踏まえ、緊急性の高い移民資料の情報収集とともに、関係団体と意見交換を図りながら、県立博物館、県立図書館の既存施設、ウェブなどを含めた対応を検討していく」と述べた。瀬長美佐雄氏(共産)への答弁。
【医療・コロナ】妊産婦のPCR 1回分助成準備
平良昭一氏 今後の第3波の想定と対策は。症状が酷似しているインフルエンザ対策は。
大城玲子保健医療部長 新型コロナとインフルエンザの両疾患に対応できる医療機関を増やし、診療・検査できる体制に向け準備を開始した。発熱などの症状があれば、まずは、かかりつけ医など身近な医療機関やコールセンターに相談する体制を構築する。小児科や福祉施設と提携している医療機関にも両方の診療と検査ができる体制を増やす。インフルエンザの予防接種は、国の予防接種計画に基づき、10月以降、高齢者や医療従事者等を優先し計画的に行う。
上原章氏 県内の医療機関・介護事業所から経営影響調査や緊急財政支援などの強い要請があるが。
名渡山晶子子ども生活福祉部長 通所系介護事業所は、本年4月から7月の介護報酬の前年同期比が2・1%の減となっている。融資や報酬上の特例などの活用を周知し、国の各種事業を予算化し、支援に取り組んでいる。
上原氏 妊産婦へのPCR検査費用の助成について伺う。
大城部長 無症状であっても、かかりつけ産婦人科医と相談し、本人が希望する場合に分娩(ぶんべん)予定日のおおむね2週間前をめどに、PCR検査などの1回分の費用を助成することとして準備を進めている。
【基地・安保】那覇軍港返還は基地負担の軽減 知事公室長「発展に寄与」
山里将雄氏 辺野古新基地建設に関する設計変更承認申請の告示・縦覧に伴い、寄せられた意見書は知事の判断に、どう生かされるか。
上原国定土木建築部長 利害関係の程度を考慮し、処分に反映させる。
山里氏 コロナ禍で沖縄防衛局が辺野古の新基地建設工事を強行したことについて県の見解を伺う。
上原部長 工事が中止されなかったことは非常に残念だ。
山内末子氏 コロナ禍で米国への基地問題の訴えなど、どのように進めているのか。大統領選後の対応など、計画はあるのか。
金城賢知事公室長 メールやテレビ会議で米国連邦議員補佐官などに対して、基地問題に関する情報提供を続けている。できるだけ早く渡米し、現地での活動を再開させたい。
西銘純恵氏 那覇軍港は無条件返還を求めることが、早期返還につながるのではないか。
金城知事公室長 那覇港湾施設の返還は基地負担の軽減、跡地の有効利用による発展に寄与する。移設協議会では民港の港湾計画との整合性を図りつつ、円滑な移設が進められるよう調整を行うことが、繰り返し確認されてきた。
【経済・振興】おきなわ彩発見 利用実績4万件 10万5千人泊
瀬長美佐雄氏 おきなわ彩発見事業の成果は。
渡久地一浩文化観光スポーツ部長 予算額6億7千万円、利用実績は約4万件で10万5千人泊となっている。
山内末子氏 石炭火力発電所休廃止問題で県内のエネルギー政策はどう変わるのか。
嘉数登商工労働部長 本土から独立した系統の島しょ県で、電気の安定的な確保による県民生活や事業活動の安定の観点から、当面の間、石炭火力発電は必要であると考えている。SDGsの理念を踏まえ、再生可能なエネルギーの導入拡大を進めていきたい。
大城憲幸氏 沖縄振興計画のこれまでの目標達成状況は。
宮城力企画部長 沖縄21世紀ビジョン基本計画では、計画6年目の17年度の県内総生産は4兆4141億円。1人当たり県民所得は234万9千円と、いずれも展望値の8割を超えた。ただ、新型コロナの影響により、今後の達成を見極めることは難しい。
【教育】中学2、3年生 35人学級検討
平良昭一氏 30人以下学級の完全実現について。
金城弘昌教育長 県教育委員会では、これまで小学1年生および2年生で30人学級を、小学3年生から中学1年生で35人学級を実施している。現在、中学2年生および3年生の35人学級実現に向けて検討している。
西銘純恵氏 20人学級を推進するために必要となる教室数、教員数は。
金城教育長 県内の市町村立小中学校全学年で20人学級を実施した場合、現在よりも教室は約2900教室、教員数は約3300人必要となると見込んでいる。文部科学省が公表した中教審答申案の作成に向けた骨子案には、少人数学級を可能にするための指導体制や施設整備を図ることが盛り込まれている。国の動向を注視したい。