国際

【島人の目】伊の平穏と欧州の不安

 欧州ではスペイン、フランス、イギリスなどの大国を中心に多くの国で新型コロナの感染が拡大している。第2波である。そんな中、かつて欧州どころか世界でも最悪のコロナ感染地だったもう一つの大国イタリアは、感染拡大が最も少ない部類の国になっている。

 イタリアは3月から4月にかけてコロナ恐慌で呻吟(しんぎん)した。医療崩壊に陥り、これまでに3万5千人余の患者と177人もの医師が新型コロナで死亡するという惨状を呈した。当時イタリアには見習うべき規範がなかった。孤立無援のまま正真正銘のコロナ地獄を体験した。

 世界一過酷なロックダウンを導入して、イタリアは危機をいったん克服した。だが国民には巨大な恐怖心が残った。そのために少し感染が増えると人々の間に緊張が走る。イタリア国民はかつてロックダウンの苛烈(かれつ)な規制だけが彼らを救うことを学び、それを実践した。規制の多くを今も実践している。国の管制や法律などに始まるあらゆる「縛り」が大嫌いな自由奔放な国民性を思えば、これは驚くべきことだ。

 イタリアに続いて例えばスペインも感染爆発に見舞われ医療危機も体験した。だが、スペインにはイタリアという手本があった。失敗も成功も悲惨も、スペインはイタリアから学ぶことができた。恐怖の度合いがイタリアに比べて小さかった同国は、ロックダウン後はよく言えば大胆に、悪く言えば無謀に経済活動を再開した。その結果、感染拡大が急速に始まった。そうした状況は欧州のほとんどの国々にも当てはまる。

 イタリアの平穏な状況は、しかし、同国のコロナ禍が終わったことを意味するものではない。イタリアでも新規の感染者は着実に増えている。結局イタリアも欧州の一部だ。コロナ禍の先行きはまだ全く見えないのである。

(仲宗根雅則、イタリア在、TVディレクター)



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