沖縄、なぜ救急受診が多い? 沖縄戦が影響、米国式の研修病院を整備


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 沖縄は休日や夜間、時間外の救急受診件数が全国平均の2倍に上る。

 なぜ沖縄で救急を受診する人が多いのか。調べてみると、75年前の沖縄戦が戦後の医療体制に大きく影響していることが分かった。

 沖縄戦では県内の医師も多く犠牲になり、生存者は60人しかいなかったと言われている。沖縄の医療機能は大半が焼失し、米国占領下での医療体制が始まった。米軍は捕虜となった沖縄の医師を集め、十分な医療環境がないまま、救急搬送される全ての患者を診る体制をとった。

 戦前のドイツ医学から、戦後は米国医学が取り入れられるようになった。それぞれの専門分野を重視するドイツ医学と違って米国医学は実際に患者の診療と治療を行う臨床医学が重要視されていた。

 戦後の沖縄の医師不足は深刻だった。医師不足を解消するためにも、研修病院の整備が重視された。1966年、米国陸軍省とハワイ大学が卒後研修に関する契約を締結、ハワイ大学から指導医が派遣され、翌67年には琉球政府立中部病院(現在の県立中部病院)で米国式の卒後医学研修が始まった。そこで採用されたのがER方式で、県内では50年以上続いている。