沖縄県内スーパー最大手のサンエーは6日、増収減益となる中間連結決算を発表した。新型コロナウイルスの影響で消費動向が変化している中、下半期はどのような展開をするのか。決算会見での上地哲誠社長と記者の一問一答は以下の通り。
■メインプレイス、パルコシティに影響
Q:コロナの影響がだいぶ出ている。今回の決算をどう見るか。
A:これだけ影響が出るとは当初、想定していない状況です。しかも従来とちょっと違うのは部門間、業種によって相当差があるのが大きい。衣料品と外食が相当落ち込んだ一方で、食品は伸びている。そういう環境ですが、オールサンエーで対応した。忙しいところに応援に入る。外食、衣料品は食品の応援に入ったりして対応した。既存店が100を維持したということは良かったと思っている。ただ、利益率の高い衣料品と外食落ちた影響、減益の要因となったことは否めない。これは仕方ない。その上に立って下期は進んでいく。
インバウンド(海外客)が一気にいなくなってしまった。こういう想定は全くしていなかった状況。那覇メインプレイス、パルコシティの大型店が一番影響受けている。その辺をしっかり受け止め、下期はお客さんの価値観やライフスタイルに合わせる努力をしていきたい。
■粗利率、無理して上げない
Q:粗利率の高い衣料品、外食が落ちている。これまで粗利率30%を上回るというのが経営上の方針だったと思うが、これから先行き見た場合に、粗利率30%を確保に取り組むのか、下方修正するのか。
A:これが実態なので、無理して粗利率の高い物を何とかしないといけないとか、他の事業で粗利ををあげることをしても、いい結果を作らないと思っている。第二四半期までの状況は自然体だと受け止めて、その上にたって後半をやっていく。ですから無理して粗利率を上げる施策をとるつもりはありませんし、衣料品は売り上げとして伸ばしていく努力をしていく。食品はお客さまの支持が高い状況ですので、売れ筋を分析してニーズに合わせていくことをしていきたい。
Q:粗利率が30%を割り込んでも仕方がないということか。
A:無理して上げる、下げることはしない方がいいと思っている。第二四半期までの状況が下期も続いていくと見ている。
■多様なニーズに対応
Q:所得や雇用の不安定さから低価格志向になっていると見ているスーパーもある。消費者の志向は低価格化しているのか。変わらないのか。
A:毎日使う日用雑貨、頻度の高い卵とかこういうのはおっしゃるとおり低価格のニーズは高まっている。一方で生活の質を落としたくないというニーズが高まっているのも事実。そういう面をとらえて、商品によって低価格的な部分をやらないといけないし、一方で、ごちそうメニューといいますか、質の高い物のニーズもある。
例年に比べてうなぎなどの伸び率が高い。去年と違う状況が出ている。あるいはカット野菜も伸びている。安いだけでなく、価値のある商品、便利で使いやすい商品は少々値段が高くてもお客様は買っているという状況がある。一方でトイレットペーパーなどは値段の安さを求めているのは出ている。お客様のニーズをしっかり捉えていく。ライフスタイルの変化を捉えると言うことを含めて、きめ細かく対応していきたい。
Q:競合他社のように低価格にはシフトしないということか。
A:低価格にシフトすることはないけれども、お客様の選択肢は多様化していく。それに対応することをしっかりやっていく。低価格になるかというとちょっと違う。店頭の売れ筋をみると、質の高い商品の動きもいい。
お中元の状況は例年と大きく違った。ギフト関係が例年より客足が落ちた。ギフトを持ってお供えに持って行くことが減っているだろう。去年より件数は落ちている状況がある。年末ギフトも昨年と同じ対応では下がっていく。ニーズとずれる。中元の分析をして年末ギフトに対応していきたい。ギフトも昨年の数字取れることはあまり期待していない。あとは中身をいかにして充実するか。宅配が増えていることは事実。その対応をしっかりやっていく。
■オールサンエー奏功
Q:大型店ではテナント退店も出ている。
A:テナントさんの退店も例年よりも多く出ているのも確か。できるだけテナントさんの状況を確認しながら、継続できるような施策をとっていく。
Q:さきほどオールサンエーで対応したとあったが、どのような仕組みか。
A:緊急事態宣言が出て外食は営業時間を短縮したり、休業したりした。でも給料はありますから仕事はしないといけない。食品はお客様が通常より増えているのでそこに応援に入れた。外食の厨房にいる人はいろいろできる。総菜の応援にも入れるし、チェッカーにも入れる。非常に対応力がいい。衣料品、外食の方々を中心に食品の応援に入ってもらった。普段できなかっただけに、会社としての互いの職場を理解する。互いの連帯感を強くすることにもつながったのではないかと思っている。
Q:緊急事態宣言が明けたが、構成比は変わらないか。
A:少し変わってきています。緊急事態宣言中は外食は半分まで落ちた。解除後は80%くらいまで回復して、今は85%まで回復している状況。お客様も冷静に対応している。宣言中は控える。緊急事態宣言解除すると少し出てこられる。お客様が適切に行動していることを感じます。
■ちょっと強気の予算で
Q:コロナの影響を受けているが、通期予想を修正しない理由は。
A:上半期は単体では予算通りいっている。ローソンは地域によって落ち込みがひどいという状況があって連結で少し足りない。去年の2月からコロナの影響が出ていた。それと去年の後半は消費税増税の影響で乱高下していた状況を踏まえて予算組みしている。上半期を見ているとこれはまだ全体としては予算未達があるが、努力して取れない数字ではないと思っている。予算修正せずに後半で努力して予算を達成させていこうという判断です。
Q:衣料品、外食はこの先厳しいが、売り上げ達成するのは食料品を伸ばして達成するのか。
A:食品は堅調にいくと思います。衣料品は緊急事態宣言で非常に大きく落ち込んだが、今は9割まで戻ってきている状況もある。気温の影響もあると思うが、緊急事態宣言さえ出なければ、100まで行かないにしても9割まで回復すると見込んでいる。
衣料は在庫コントロールがうまくいっていて、過剰在庫になっていないこともある。新しい商品を購入できる余力を持っているんですね。冬場に新しい商品を入れてやっていくことができる。上半期は売り上げ落ちたが、在庫コントロールがうまくいっているので、新しい商品を投入できる環境ができた。ちょっと強気の予算で行こうと思っている。
Q:外食は厳しいという見方は変わらない。
A:外食は緊急事態宣言解除後も85%くらいで来ている。このままでいくかなと思っているんですが、ただ、これも前に比べるとテークアウトが増えているのは間違いない。テークアウトを強化しながら、少しでもかさ上げしていくことがポイントかなと思っている。
■コンビニ出店は予定通り
Q:ネットスーパーは強化するのか。
A:ネットスーパーは堅調なので、店舗数を拡大しようと思っています。11月にネットスーパーを具志川メインシティまでエリア拡大をしていきたい。お客様のニーズも高い。オンラインショッピングも伸びている。その両方を強化していく。食料品は両面で考えている。
ドラッグストアも堅調に来ている。これについてもテナント抜けたところでどうしてもカバーできないとか、ドラッグの隣の店舗部分なら、ドラッグを拡大することでカバーすることを今準備しています。そういう店舗が2店舗出てきています。ドラッグの既存店の拡張することで、店舗の強化を図っていく。
Q:コンビニ事業が厳しい。この先はどこを伸ばしていくのか
A:観光立地でのインバウンドの影響が大きい。典型的な国際通りは最も落ち込む。一方で住宅立地は堅調に伸びている。路線を変えるのではなく、出店も予定通りします。商品力強化に力を入れる。最近はメロンパンをリニューアルした、サンエーと共同で商品を開発して提供していく。サンエーのギョーザもローソンで売っていく。商品力を強化し、ローソンの強化をしていく。