地方議員に女性を増やすには? 那覇出身・白馬村議の田中さん「男女の壁を取っ払おう」


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那覇市出身で白馬村議の田中麻乃さんを招き、女性をどう議会に増やすのかなどについて意見を交わしたイベントの参加者=9月、那覇市のブックカフェ&ホール「ゆかるひ」

 地方議会にもっと多様性を―。女性議員を増やし、女性たちが抱える課題を解決しようと活動する「パリテ・カフェ@信州」のメンバーで、長野県白馬村議員の田中麻乃さん(37)=那覇市出身=を招いたイベントが9月28日夜、那覇市内で開かれた。日本復帰から50年となる2年後の2022年に、県内では統一地方選が実施される。この日、集まった人たちは女性をどう議会に増やすのかなどについて意見を交わした。(問山栄恵)

 2019年に発表された女性の社会進出の指標「男女格差報告」では、日本は153カ国のうち過去最低の121位。特に政治分野が深刻な状況とされ、18年には候補者をできるだけ男女均等にするという「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が施行されたが、女性の割合は各国の平均が25・2%に対し、日本は衆議院が9.9%、地方議員も14.3%と低迷。沖縄県議会も女性議員は7人で14.6%にとどまる。

 田中さんは、女性の立候補と当選を阻むものに「六つの壁」を上げる。女性は自己評価が低く、立候補を「まだ経験が足りない」などと断る人が多いという。また、家族の支援が得られにくく、政党で公認権を持つのは男性が多い、男性目線で候補者を選びがちであること、選挙運動では「女性はこういうものだ」というイメージの押し付けや、女性の場合は容姿が注目される傾向があることなどを指摘した。

 田中さんは、高齢者が多い村議会では子育て世代の自身と考えがかみ合わないと感じているとし「偏った年齢構成では多様な意見が反映されにくい。政治は、私たちの生活に関わっている。政治の仕事に男女差はない、壁を取っ払おう」と訴えた。

 イベントに参加した県議の喜友名智子さんも「女性にとって選挙はハードルが高い。台湾は政策決定の場に女性がいる。男女共同参画のスローガンだけではなく、担保する仕組み、女性議員が増える環境をつくらないといけない」と強調した。

 イベント後、主催したブックカフェ&ホール「ゆかるひ」店主の屋嘉道子さんは「議員を特別な人にしてはいけない。普通の人の願いが伝わるために議会の裾野(すその)を広げていかなければならない」と話した。今後も、女性議員を増やすために話し合うイベントを開いていきたいとし、「ゆかるひ」のフェイスブックなどで発信していく。