渡嘉敷島の沖縄戦「強制集団死」で朗読劇 沖縄バプテスト連盟が動画制作し公開


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朗読劇「語り継ぐ沖縄戦~渡嘉敷島『強制集団死』から生かされて~」の一場面(沖縄バプテスト連盟のホームページから)

 沖縄バプテスト連盟平和社会委員会(神谷武宏委員長)はこのほど、朗読劇「語り継ぐ沖縄戦~渡嘉敷島『強制集団死』から生かされて~」を制作し、動画を10月10日から同連盟のホームページで公開している。旧日本軍による「強制集団死」から生き残った金城重明さん(渡嘉敷島出身)の体験を基に、作品を仕上げた。公開は25日までで、神谷委員長は「平和をつくるために私たち一人一人に何ができるか。朗読劇を見て考えてほしい」と呼び掛けている。

 同委員会は毎年、6月23日の慰霊の日に合わせて平和集会を開き、戦争体験者の講演会などを開いている。戦争体験者が減っていく中、若い世代に戦争の実相を語り継ぐ方法はないかと考え、初めて朗読劇に挑戦した。金城さんの証言を基に2月から脚本を書き、半年余りかけて朗読劇を完成させた。新型コロナウイルスの感染拡大で今年の平和集会が中止になったため、動画配信を決めた。

 作品では軍事教育などにより、住民や家族同士が死を強制されていく様子が詳細に描かれる。金城さんも母親やきょうだいに手をかけてしまう。

 後半は、民意に反して強行される名護市辺野古の新基地建設や繰り返される事件・事故を挙げ「(強制集団死の)惨劇から75年、沖縄はいまだ戦後と呼べない現状がある。いつまでわれわれは、このような愚かなことを続けるのでしょうか」と投げ掛けて幕を閉じる。

 動画は全体で1時間14分。朗読劇の前後に賛美歌があるほか「メッセージ『命どぅ宝』―平和をつくり出す者へ―」と題し、神谷委員長が辺野古の浜や米軍普天間飛行場、糸満市摩文仁の平和祈念公園を訪れ「いつまで暴力に依存し、暴力を肯定する社会であり続けるのか」と視聴者に訴えている。
 (真崎裕史通信員)