オンラインで平和学習 沖縄への修学旅行を断念した日大二高(東京) 沖縄戦と基地学ぶ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「命どぅ宝。命のバトンをつないでいきましょう」と生徒らに語り掛ける比嘉涼子さん=7日、読谷村都屋

 【読谷】新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国的に旅行や外出などの自粛が続く中、沖縄への修学旅行を断念した日本大学第二高校(東京都)がこのほど、オンライン授業を通して沖縄戦や米軍基地問題について考える平和学習に取り組んだ。

 同校2年生411人は当初、10月5~10日の旅程で県内に滞在し、戦跡や道の駅かでななどを訪れ、沖縄戦と現在も続く基地被害の現状について学ぶ予定だった。来沖はかなわなかったものの、生徒や教員らの強い思いもあり、オンラインで平和学習に取り組むことを決めた。

 生徒たちは平和学習で、読谷村を中心に活動する「地域ガイド風の会」の比嘉涼子さんが、多くの住民が「集団自決」に追い込まれた村波平の自然壕チビチリガマ前で事前に収録した講話に耳を傾けた。その後、同校と読谷村をオンラインでつなぎ、比嘉さんが生徒たちに直接語り掛けた。

オンラインで比嘉涼子さんの講話に耳を傾ける生徒ら(日本大学第二高校提供)

 比嘉さんは75年前の米軍上陸から現在に至る基地問題は全てつながっていることを説明した。「沖縄の基地問題を議論する時、よく差別と犠牲が抜け落ちている」と指摘した。生徒たちに「無関心でいてはいけない。今まで以上に人の痛みが分かる人になってほしい」と訴えた。

 比嘉さんは、戦跡は凄惨(せいさん)な沖縄戦の記憶を後世へ伝える重要な場所でもあると説明した上で「生徒たちにはいつか実際に戦跡に立ち、自らの目で見て、平和の尊さについて考えてほしい」と呼び掛けた。

 講話を受けた2年3組の中山美花さんは「平和学習は戦中のことを学ぶだけではなく、戦後の今の問題を知ることだと学んだ」と感想を述べた。同10組の林野ゆり奈さんは「今年は映像だったけれど、現地に実際に行って見るというのはすごく大事なことだと思った」とし、コロナ収束後には沖縄を訪れることを望んだ。
 (当銘千絵)