再建に欠かせぬ赤瓦、職人の育成が業界の課題 資材の早期確保も必要


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 真っ赤な赤瓦が沖縄の空に映えた首里城の焼失から、31日で1年。再建への動きが具体的になる中、県内の赤瓦職人たちは人材不足の課題に直面し、後継者育成や早期の資材確保などを望む。

県内のしっくい施工法を説明する県琉球赤瓦漆喰施工協同組合の田端忠代表理事=1日、八重瀬町宜次

 県琉球赤瓦漆喰(しっくい)施工協同組合の田端忠代表理事は「首里城再建に漆喰(しっくい)職人は約20人が必要だが、県内では約半分しかいない。職人の高齢化も進んでいる」と再建への影響を懸念した。

 田端代表理事によると、県内ではコンクリート住宅の普及、県外産赤瓦の沖縄市場への参入など、日本復帰を境に県内で赤瓦の需要が次第に減少したという。「一人前の職人として育成するには最低2年が必要。しかし、県内では漆喰施工の仕事が少ないため、育成しても経験を積みにくい」と説明した。

 今後若手の人材育成について「県独自の琉球赤瓦施工試験のハードルを下げ、新たなレベル創設も必要だ」と提言した。

音で赤瓦の品質を確認する県赤瓦事業協同組合の八幡昇代表理事=9月、与那原町

 県赤瓦事業協同組合の八幡昇代表理事は、赤瓦の原料調達先の確保について言及した。八幡代表理事によると、良質の赤瓦製品を作るには原料の土をおよそ半年~1年かけて寝かせる必要があるという。瓦の原料の調査研究を進める県工業技術センターが那覇市首里石嶺町のクチャ(泥岩)を原料に配合することを検討している。

 八幡代表理事は「材料調達の方向性を早く見いだしてほしい」と求めた。前回の復元では名護の古我知粘土を使用していた。

 八幡代表理事は、今回の正殿に使用する赤瓦を約5~6万枚と試算した。「赤瓦の製作は今、機械化しているため、人材不足ではない」という。

(呉俐君)