いくつかの挫折を繰り返しながらも、東京で夢を追い掛けている。2017年にお笑いコンビ「ミッドランド」を結成した。吉本興業に所属し、月に3~4回、神保町よしもと漫才劇場の舞台に立つ。夢は、M―1グランプリなど大会で優勝することだ。今は試行錯誤しながら芸を磨く。
2人の出会いはM1グランプリの予選会。お互い別の人とコンビを組んでいたが、「同じ年だし、何かしっくりいった」。すぐに意気投合したという。
ぼけ役の玉城将太さんは、中学生の頃、成績は学年273人中270番と悪く、けんかをするなど「粋がっていた」という。そんなとき、母親の同僚の紹介でボクシングと出合った。先輩たちの「打ち込む姿がかっこいい」とのめり込んだ。
県内ボクサーの育成に尽力し、17年に急逝した金城眞吉監督と出会い、沖縄尚学高校に進学。08年の全九州高校新人大会で優勝した。しかし、先輩から見えたものはプロの厳しい世界。卒業とともにボクシングを辞め、体育教師を目指した。だが、進学した県内の大学では体育教師の資格が取れないことが分かり中退。もう一つの夢、お笑い芸人を目指すことにかじを切った。
20歳の時に上京。22歳で吉本の養成所に入った。現在は、フィットネスを楽しむボクシングジムの横浜店代表として生計を立て、お笑いに励む毎日。将来は、ボクシング芸人を確立すること、ガレッジセールのように地元の芸人を引っ張っていける存在になることだ。玉城さんは「金城監督から礼儀や生き方を学んだ。監督に出会えなかったら、自分は中途半端な人間になっていた。自分の人生を作ってもらった監督に恩返ししたい」と語る。
つっこみ役の安座間安享さんは人を笑わせるのが好きで、高校生の時、全校生徒が選ぶ「ミスター面白い人」部門で1位になった。そのころからお笑い芸人になることを目指す。だが、そこにたどり着くまで葛藤があった。同級生にいじられ、つらい時期を経験してきた。「いじられキャラを振り切ることができたから、人前に出ることや人を笑わせることができるようになった」と振り返る。「自信を付けたい」とお笑いでまずは1位を取ることを目指す。
けんか別れし、一度は解散した二人だが、お互いの良さを再認識し絆は深まった。コロナ禍で仕事が減りお笑いを辞める芸人たちを目の当たりにしてきたが、夢への思いは揺るがない。芸風に沖縄色をいかに出していくかが課題だ。2人の挑戦は続く。
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たまき・しょうた 1991年11月生まれ、那覇市出身。金城眞吉監督の指導の下、沖縄尚学高ボクシング部でミドル級選手として活躍。よしもとボクシング部に所属し、ボクシングの魅力を発信している。芸名は玉城メイウェザー。
あざま・やすゆき 1991年8月生まれ、那覇市出身。南風原高校卒業後、パチンコ店や飲食店、営業職など、さまざまな職業を経験。オンラインゲーム遊戯王で100位以内に入るほどゲーム好き。芸名は安座間やすゆき。