ピアノのレッスン、泡盛の販売もオンラインで 地域の事業所がコロナ禍で挑んだこと


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端末(手前)を使用しオンラインでピアノレッスンをする島袋恵代表=10月19日、八重瀬町富盛

 【八重瀬】コロナ禍を受け八重瀬町内の事業所でインターネットを利用した取り組みが広がっている。八重瀬町富盛の音楽教室「グレイス・ミュージック・スクール」はオンラインでのレッスンを始め、同町世名城の神谷酒造所は町商工会と協力し、ネットショッピングを立ち上げた。「コロナに勝ちたい」―。収束の見通しが立たない中、ネットを活用し事業を継続しようと柔軟な発想で難局を乗り越えようとしている。

 130人の受講生をもつ「グレース―」は3月から断続的に教室を休講せざるを得なくなった。「柔軟さが大切」との思いで島袋恵代表は従来の対面レッスンを改め、4月からオンラインを開始した。2、3人から始まり徐々に生徒間に浸透し、最大約50人が受講するようになった。

 1対1で端末画面に鍵盤上での指の運びや、足のステップを映し出す。画面越しに「音が間違えている」「リズムが違う」などと助言。小1から同スクールでピアノを習う、栗山花暖(かのん)さん(10)=東風平小5年=は「1週間に1回(オンラインでも)先生に見てもらえてうれしかった。オンラインがあって良かった」と満足げ。母親の真利亜さん(38)も「感染の心配をせず続けられる。送迎の手間も省ける」と利点を挙げた。

千リットルの泡盛が入ったかめに囲まれ、自社一押しの銘柄「南光」をPRする神谷雅樹工場長=10月19日、八重瀬町世名城の神谷酒造所

 一方、八重瀬町の創業71年となる神谷酒造所は、コロナ禍で一時は前年同月比75%減まで売り上げが落ち込んだ。神谷雅樹工場長は土産品店などに卸し観光客に依存していた販売方法を見直した。販路拡大に向けネットの強化に着手した。

 ネット販売は10年ほど前に一度挑戦したが長続きしなかった。しかし「もう1回チャレンジしよう」と全従業員で気持ちを奮い立たせた。町商工会加盟のIT関連事業所の協力を受け、ホームページのリニューアルやネットショッピングを開設した。

 今後はまろやかさや甘みなどの指標を示す「味マップ」をホームページ上やラベルに表記するなど新たな取り組みも予定している。神谷工場長は「まずは一歩踏み出した」と前を見据えた。
(照屋大哲)