愛知県出身のバイオリン奏者・島田真千子のデビュー20周年を記念したリサイタル(主催・ビューローダンケ)が10月24日午後1時と午後7時から那覇市のパレット市民劇場であった。島田と同郷のピアニスト・広瀬悦子と初共演した。卓越した演奏技巧で優雅な音色を響かせ観客を圧倒した。午後1時の回を取材した。
幕開けはベートーベン生誕250年を記念して「バイオリンソナタ第3番変ホ長調作品12」で飾った。3曲のソナタで構成され、膨らみのある音色を呼応するように響かせた。
ブラームス「バイオリンソナタ第2番イ長調作品100」は3曲で構成される。島田は留学先であるドイツのデトモルト音楽大学でブラームスの室内楽作品を学んだといい、かつてブラームスが見た風景に思いを重ねて演奏した。情緒豊かな明朗な響きで涙を誘った。
後半はショーソン「詩曲作品25」を演奏した。ロシアのツルゲーネフの小説「勝ち誇る愛の歌」に着想を得て作曲されたとする。バイオリンとピアノが織り成す情熱的な音色が、ホールを包み込んだ。
トリはラベル「バイオリンソナタト長調」。ジャズの要素が取り入れられた作品で、複雑に音色が変化し楽しませた。陽気な雰囲気でモダンな印象派の響きを奏でた。アンコールにフォーレ「夢のあとに」を演奏し締めくくった。
(田中芳)