【うるま】県内最高齢の沖縄戦の語り部で映画「GAMA 月桃の花」のモデルになり、12日に99歳で死去した安里要江(あさと・としえ)さんの告別式が15日、うるま市のJA虹のホールうるまで行われた。親類や沖縄戦体験者、平和運動関係者ら、多くの人々が別れを惜しんだ。
喪主の長男常治さん(68)は弔辞で「幸せな生涯だった。戦後、私たちきょうだい5人を育て、幼稚園の教師や婦人会、議員活動、そして語り部活動に人生の全てをささげた。無事にやりとげられたのは地域の方々や友人、先輩方、親類の力添えがあったからこそだ」と述べた。
参列した沖縄市平和ガイドネットワーク会員の安仁屋真孝さん(65)=沖縄市=は「家族や親類のほとんどを失った体験から、戦争を二度と繰り返してはならないという思いを強く感じる方だった。母としての沖縄戦体験を語ることのできる貴重な存在でもあった。安里さんの体験をこれからも語り継いでいきたい」と話した。
安里さんは沖縄戦で夫と2人の子どもを含め、親族11人を失った。糸満市の轟(とどろき)の壕では生後9カ月の娘を亡くした。1981年から語り部の活動を始め、約40年にわたって戦争の悲惨さを訴えてきた。自身の体験を基にした著書「沖縄戦・ある母の記録」は、映画「GAMA 月桃の花」の原作となった。
第9条の会・沖縄うまんちゅの会の共同世話人代表も務め、反戦平和の活動に取り組んだ。98歳となった昨年5月、体調不良を理由に語り部の活動を終えていた。