平和への思い継ぐ 沖縄戦語り部・安里要江さん告別式 850人が別れ惜しむ


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約850人が参列した安里要江さんの告別式=15日、うるま市のJA虹のホールうるま

 【うるま】県内最高齢の沖縄戦の語り部で映画「GAMA 月桃の花」のモデルになり、12日に99歳で死去した安里要江さんの告別式が15日、うるま市のJA虹のホールうるまで行われた。沖縄戦体験者や平和運動関係者ら約850人が別れを惜しんだ。

 喪主の長男、常治さん(68)は弔辞で「戦後、私たちきょうだい5人を育て、幼稚園の教師や婦人会、議員活動、語り部活動に人生の全てを懸けた」「あの世で父や戦争で亡くなった子どもたちと再会していると思う」と述べた。

 安里さんと同郷で沖縄戦体験者の安里祥徳さん(90)=北中城村=は「戦争がいかに悪であるかを十分に経験し、反戦・平和運動に徹底的に打ち込んだ。立派な、惜しい人を亡くした」と声を落とした。

 「母親としての沖縄戦体験を語ることのできる貴重な存在だった」と振り返るのは、沖縄市平和ガイドネットワークの安仁屋真孝さん(65)=沖縄市。「安里さんの体験を今後も語り継いでいく」と思いを込めた。

 前北中城村長で安里さんのおいに当たる、喜屋武馨さん(78)=北中城村=は「県民が安里さんを忘れず、平和への深い思いが子や孫の世代まで伝わることを願う」と話した。

 告別式会場には安里さんの体験を伝える新聞記事や、著書「沖縄戦・ある母の記録」なども展示された。安里さんは沖縄戦で夫と2人の子どもを含め、親族11人を失った。糸満市の轟の壕では生後9カ月の娘を亡くした。1981年から語り部の活動を始め、約40年にわたり戦争の悲惨さを訴えた。