【記者解説】なぜ変更?辺野古埋め立て土砂の運搬方式 政府の狙いは?


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埋め立てや護岸工事が進められる新基地建設現場=2020年9月、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局が埋め立て用土砂の搬入方式を変更するのは、工事を加速させるためだ。環境への配慮よりも工事の効率化を優先させる。辺野古側を早く埋め立てても、軟弱地盤が広がる大浦湾側の埋め立ては残り、全体の工期短縮にはならない。それでも「目に見える形」(菅義偉首相)で工事を進めることで、事業が順調だと印象付ける狙いが透ける。

 大浦湾側の埋め立ては辺野古側より時間がかかる上に、知事の承認を得て地盤を改良する工事が必要だ。玉城県政は認めない構えで、防衛局が大浦湾側で着工するめどは立っていない。現在、埋め立て現場北側のK9護岸には土砂を積んだ船が1隻ずつ接岸し、土砂を運び入れている。今回の方式変更で、同時に2台並んで接岸できるようになる。もう一つのK8護岸では、接岸可能な船の数は変わらないが、より多くの土砂を積んだ船を係留できるようになる。

 さらに土砂を蓄積する大型船を常時、置いておくことで、海の状況などに影響を受けず土砂投入を続ける態勢をつくりたい考えだ。

 護岸を利用した土砂の陸揚げについて、県は当初予定されていない使い方だと指摘してきた。さらなる方式変更は国と県の争いにとって、新たな火種となる可能性がある。
 (明真南斗)