箏、琴の多彩な魅力 アジア4カ国を聞き比べ 国立劇場おきなわで公演


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伽倻琴を演奏する金美香=8日、浦添市の国立劇場おきなわ

 国立劇場おきなわの企画公演「アジア・太平洋地域の芸能 箏(こと)」が8日、浦添市の同劇場であった。箏曲や中国の七弦琴の演奏が披露され、沖縄と日本本土、中国、韓国、モンゴルの箏・琴(きん)の魅力を詰め込んだ12演目を届けた。観客は各国の風情を感じさせる弦の響きに耳を澄ませ、異国情緒あふれる時間を楽しんだ。

 第1部は琉球古典箏曲斉唱「船頭節」「対馬節」「源氏節」から始まり、生田流箏曲の箏と三絃の合奏「尾上の松」が続いた。琉球古典箏曲は、七五調の歌詞が本土から移入されたことをうかがわせた。一方で、生田流箏曲の合奏は琉球古典箏曲に比べて早いテンポと豊かな音色があり、継承の過程で吹き込まれた新風を感じた。続く独奏は、琉球古典箏曲は宮里秀明が「六段菅撹」、生田流箏曲は日高貞子が「六段の調」を披露した。爪の違いによる弦の響きや、音階の相違はあるが、同様の構成が両箏曲のつながりを思わせた。

 二部は中国の七弦琴(岡本陽子)による古曲「関山月(くゎんしゃんゆえ)」で幕を開けた。同曲は、中国の漢代の楽曲に、唐代の李白が詩を付けた。重厚な琴の音が歴史を感じさせた。伍芳は、音域の広い21弦の古箏(こそう)で伝統作品を演奏し、流麗な音色を響かせた。爪を付けず弦をはじく韓国の伽倻琴(かやぐむ)(金美香)は、素朴な音色だが、独特のリズムの取り方で神秘的な世界に観客をいざなった。

 中西史子は、モンゴルのヤトガで、めでたく結ばれた男女の楽曲「青い衣の少女」と、草原の羊やヤギの群れを描いた「命煌(きら)めく草原」を演奏した。弦の上を飛び回るような明るい音の運びで、喜びに満ちた心情や雄大な自然を表現した。演奏者の手元を映した映像や、華やかな民族衣装が視覚的にも観客を楽しませた。

 三部は「アジア地域の箏曲の発展」と題して、伍芳と大城貴幸による古箏と三線演奏、現代箏曲合奏「箏四重奏曲」(日高、山田多恵子、河原伴子、山田広恵)があった。池間北斗は、賢順記念全国箏曲コンクールで1位に選ばれた際に演奏した琉球箏曲「千鳥」を県内初披露した。最後は出演者全員で「てぃんさぐぬ花」を演奏し、幕を下ろした。 (藤村謙吾)