伝統守りガンヤー祭 うるま・南風原 12年に1度、葬具へ祈り


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ガンヤーに納められている龕

 【うるま】うるま市勝連の南風原自治会は8日、琉球王国時代から葬具として利用されてきた「龕(がん)」を拝むガンヤー祭(御龕(うがん)祭)を実施した。12年に1度しか行われない祭事で、参加者らは龕が納められているガンヤー前に集まり、区民の無病息災や地域の発展を祈願した。

無病息災、発展願う

ガンヤーに向かい、旗頭を担ぎながら練り歩く青年ら =8日、うるま市勝連南風原

 この龕は286年前からあったと言い伝えられている。死者を運ぶ際に用いられたが、戦後火葬が普及する中で、徐々に使われなくなった。勝連南風原でも1956年以降は使用されていない。

 その後も12年に1度のガンヤー祭は続けられてきた。今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施が危ぶまれたが、できなければさらに12年後となる。前回の実施から期間が24年空くことが危惧されていた。龕が使用されていた時代を知っている世代らの「若い世代へ継承しなければならない」との強い思いで、見物客らのマスク着用など、コロナ対策をしながら実施することが決まった。

 祭りの1週間前、自治会はガンヤーを開け、龕の様子を調べた。老朽化しているが、保存状態は良く、ガンヤーの周りの草木を刈り取り、当日に備えた。

 8日午前10時、南風原公民館前から道ジュネーが始まった。

 旗頭を先頭に、締め太鼓や鉦鼓(ソーグ)をたたくテークチリ、棒術、ウスデークなどが披露された。

 この日は季節外れの夏日。一行は額に汗を浮かべつつ、ガンヤーのある小高い丘に向かい、演舞や演奏をしながら練り歩いた。

 ガンヤー前に到着し、区民らは棒術やウスデーク、舞踊を奉納した。たくさんの見物客も訪れ、12年に1度の祭事を見守った。

 来られない人にも見てもらおうと、当日の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信された。

 祭りを終え、自治会の具志堅永信会長は「感無量だ。先祖や先輩らがつないできた龕を次の世代へ継承していきたい。伝統を守ることで地域の繁栄があると感じた」と喜んだ。12年後のガンヤー祭も、無事開催できることを願った。