「沖縄スパイ戦史」三上さんに城山三郎賞


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三上 智恵さん

 角川文化振興財団は19日、第7回城山三郎賞の選考委員会を東京都内で開き、ジャーナリストで映画監督の三上智恵さん(56)の著書「証言 沖縄スパイ戦史」(集英社新書)に、同賞の授与を決めた。

 同書は映画「沖縄スパイ戦史」完成後に追跡取材を行い、元護郷隊隊員らの証言や日本軍による「スパイ」虐殺の被害者側、加害者側の証言などをまとめた。

 三上さんは作品について「図らずも沖縄の人を直接的、間接的にあやめてしまった日本軍のことを描きたかった。読者が『自分がこの立場だったら』と想像できるような記述にした」と説明した。受賞について「軍隊がいた方が安心できるという(思考の)『ウイルス』がまん延している。それに対抗できるワクチンは沖縄戦(の教訓)しかない。賞をきっかけに本を読み、日本人がどう平和に生きていくかを考えてもらえればうれしい」と話した。贈呈式は12月22日に埼玉で開く。