地域の拝所が基地の中「フェンス、基地側に後退を」 読谷村・牧原自治会住民が要請


社会
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チチェーン御嶽の前にあるフェンスを後退させるよう求めた牧原自治会の與古田松吉会長(左から3人目)ら=17日、読谷村役場

 【読谷】読谷村牧原自治会の與古田松吉会長らが17日、村役場に石嶺伝実村長を訪ね、米軍嘉手納弾薬庫地区内の拝所「チチェーン御嶽」前にあるフェンスを基地側に後退させるよう求めた。旧暦9月9日(クングヮチクニチ)に当たる10月25日の例祭は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって基地内に立ち入れず、約30人がフェンス越しに手を合わせていた。

 石嶺村長は「沖縄の現状や実態を表している。村執行部と議会で相談し、しかるべきところに要請していきたい」と述べた。

 かつてはフェンス内に自由に出入りでき、同御嶽での祈願にも支障はなかったが、2001年の米同時多発テロ以降は米軍のセキュリティーが厳格化した。

 1993年には御嶽後方の基地側に追加フェンスを設置し、立ち入りできるようにすることを米軍が許可した。追加フェンスの設置費用は自治会が負担することになったが、予算を工面できず実現していない。

 與古田会長は「チチェーン御嶽は(米軍による接収で)基地に集落を奪われた旧牧原出身者の心のよりどころだ。戦後75年を経てもフェンスの中に閉じ込められている」と訴えた。