昨年度までの売り手市場から急転し、2021年卒の沖縄県内大学生の就職内定率が大幅に下落しそうな気配となっている。新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で、これまでとは異なる取り組みを余儀なくされた就活生は内定獲得に四苦八苦する。終盤に入り、オンライン化に対応した学生と、順応できていない学生で二極化している状況が浮かんできた。
自己分析や志望動機など全て1人でやろうとして失敗した―。琉球大学4年の男子学生(22)は3月から始めた就職活動を9月末で終わらせ、来年に向けて再スタートすることを決めた。
就職活動を始めた3月ごろ、企業から内定を6月にはもらい、卒業論文を執筆している姿を想像していた。「甘かった。自己分析などの取り組みが不十分で、自分自身をエントリーシートや面接で表現できなかった」と振り返った。オンラインでの就職活動は「県外企業に就職を希望する学生にとって、経済的な負担が少なくなるので、ありがたかった。ただ、オンラインだと就職活動先の社風が分からず、ネットからの情報に頼った。エントリーシートで他の就活生との差別化への手応えがなかった」と話した。
この男子学生は現在、琉球大キャリアセンターに通い、キャリアアドバイザーの支援を受けて自己分析や自己PRなど次の就職活動に向けて準備を進めている。
県外企業から内定を得た沖縄国際大4年の女子学生(22)は新型コロナの影響で説明会の中止が相次いだ後、オンラインに移行した。オンラインでの説明会や面接は、日程が未定の企業が多く、リクルートサイトをこまめにチェックするなど情報を常に確認した。面接も音声が途切れるなどのトラブルによる質問の聞き返しなどが「選考の不利にならないか」と不安を抱えながら受けた。「家でリラックスして受けることができたが、通信環境など気を付ける部分が増えて大変だった」と話した。
求人情報を提供するマイナビ沖縄支社は「県内企業のオンライン化が遅れた影響があるが、学生も意欲的な学生と、そうでない学生で二極化した」と分析する。「まだ採用活動は終わっていない。企業も学生も視野を広げることで、マッチする可能性がある」と巻き返しに期待した。
(吉原玖美子)
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