政府の「約束」違い鮮明 秋田・イージスと沖縄・普天間 菅首相答弁


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オスプレイやヘリが駐機する普天間飛行場=宜野湾市

 【東京】菅義偉首相は30日の参院本会議で、名護市辺野古の新基地建設について「普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。これは地元の皆さまとの共通認識だ」と述べ、移設推進の姿勢を改めて強調した。一方、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の国内配備を断念した理由に「地元の皆さまに約束したことが実現できなくなった」ことを挙げたが、普天間飛行場についても政府が約束した5年以内の運用停止は実現しておらず、対応の違いが浮き彫りとなった。

 菅氏が言及したイージス・アショアを巡る地元との「約束」は、迎撃ミサイルを発射した場合にブースター(補助推進装置)を安全に落下させられないことが念頭にある。

 名護市辺野古新基地建設問題では、仲井真弘多元知事が埋め立てを承認する際に安倍晋三前首相から確約を得たとする普天間飛行場の5年以内の運用停止は、「約束」から7年近くがたつが実現していない。

 辺野古新基地建設では、軟弱地盤の改良工事も必要となり、完成まで12年の期間が必要になるなど、政府が訴える「普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現」は見通せない状況だ。

 質問した芳賀道也氏(国民民主)は「イージス・アショアが見直しなら、辺野古こそ見直すべきだ」と問題視した。これに対し菅首相は「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせた時、辺野古移設が唯一の解決策だ」と述べ、移設工事を進める考えを改めて示した。