自民県議が削除要求 辺野古めぐる万国津梁会議委員の投稿 県「制約されぬ」識者「表現の自由妨害」


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沖縄県議会棟

 沖縄・自民の島袋大氏と花城大輔氏は4日の県議会一般質問で、県が設置した万国津梁(しんりょう)会議について委員の会議外での発言を取り上げ問題視した。県にネット上の投稿削除など対応を求めた。県は「憲法上の観点からも個人の発言は制約できない」と答弁した。識者は「委員の会議外での発言を県議会で問題として取り上げることは表現を萎縮させる。表現の自由や県民の知る権利を妨害する」と指摘した。

 万国津梁会議の委員は自身のフェイスブックで、名護市辺野古の新基地建設について県が意見を募っていたことを受け、県へ意見書を送るよう呼び掛けた。島袋氏は「公費をもらっている以上、その期間は政治的発言を控えるのが当たり前。削除させるべきだ」などと持論を展開した。花城氏は、別の委員が会議とは異なる団体の会員として、県民を先住民族とする国連勧告に関連する記者会見を開いたことも問題視した。

 これらの指摘に対し県側は、要綱に基づいて設置された会議の委員に地方公務員法は適用されず、発言や活動の制約は規定されていないと説明。「憲法上の観点からも会議を離れた場での発言は制約されない」と話した。富川盛武副知事も「基本的人権や表現の自由を持っている。委員になったからといって束縛することではない」と述べた。

 沖縄大客員教授で弁護士の小林武氏(憲法学)は「委員の発言や投稿に何ら問題はなく、県議会で取り上げることではない。むしろ委員の発言や投稿は県民の知る権利に応える積極的な意義がある」と強調した。その上で「県議という立場から取り上げることで、表現を萎縮させる効果があり大問題だ。憲法が保障している表現の自由を大きく妨害する」と語った。