後世へ伝えたい昔ながらの味 読谷村の山内さんが「おきなわの料理本」発刊


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山内都子さん(右)と調理助手の仲宗根里恵さん=11月20日、読谷村喜名の島やさい工房かめさんといっしょ

 【読谷】読谷村喜名で島やさい工房「かめさんといっしょ」を営む山内都子(くにこ)さん(46)が開業10周年の節目に、後世へ伝えたい昔ながらの沖縄家庭料理と、島野菜を使ったアレンジレシピを1冊にまとめた「おきなわの料理本」を発行した。料理人を目指すきっかけとなった料理上手の祖母・カメさんとのエピソードや、コラムなどもあり、レシピと共にエッセー集のように楽しめる内容になっている。

 一番好きな料理はカメさんが作った「カンダバージューシー」だという山内さん。店の開業前、栄養士として働いていた山内さんは、簡単に祖母の味を再現できると思っていた。だが当時、入院していた祖母に教わり何度も挑戦したが、祖母の味の再現に至らなかった。その時初めて「料理は一緒に鍋の前に立ち、教えてもらわないと味を再現するのは難しい」と気付いた。

山内都子さん著の「おきなわの料理本」

 祖母と鍋の前に立つことはかなわなかったが、初心を忘れず歩み続けたいとの思いを込め、2010年にオープンした自身の店に祖母の名前を入れた。

 「沖縄の家庭料理は、下ごしらえや材料を入れるタイミングなど、料理の基本とは異なることが多い。先輩たちからの伝承で味が受け継がれている」と断言する山内さん。

 本書の後半は島野菜の特徴を生かしたアレンジレシピを紹介する。ニガナと島豆腐を使ったキッシュやイーチョーバー風味のラフテー、クワンソウのポタージュなど、アイデアに富んだレシピが並ぶ。

 山内さんは「先人の知恵が詰まった沖縄の食文化はとても魅力的。伝えられた味を、若い世代にも残してもらいたい」と語った。

 本は1300円、未来屋書店(沖縄ライカム店、とよみ店)とパルコシティのHMV&ブックスで販売中。(当銘千絵)