幸福度ランキング、地域を知る材料に 日本総合研究所・松岡理事長に聞く 16日に講演会


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
松岡斉理事長

 講演会「2020年版都道府県幸福度ランキングから見る沖縄」(主催・勁草塾沖縄事務所、琉球新報社)が16日午後6時半、琉球新報ホールで開かれる。都道府県幸福度ランキングをまとめているシンクタンク日本総合研究所の松岡斉理事長が講師を務める。講演会を前に松岡理事長に聞いた。 (聞き手 問山栄恵)

 

―都道府県別に幸福度をランキングする意義は。

 「国の創生には、地域が活性化することが重要だ。シンクタンクとして客観的なデータを基に科学的に分析し、幸福を考えるための判断材料を提供している」

 「2012年から今回で5回目、本にしてまとめている。時系列で比較できるようになっており、何が他府県より勝っているのか、どういう課題があるのか、県の特徴が見えてくる」

 

 ―幸福度を測る指標とはどういったものか。

 「12年に1回目のランキングを公表した。基本指標は『健康』『文化』『仕事』『生活』『教育』の五つの分野。5分野に10の領域があり、50の指標を用いている。ランキングは1年おきに公表しており、基本のもの以外に毎回五つ追加し、20年版は75指標から幸福度を科学的に測定している」

 

 ―沖縄県は最下位から改善傾向にある。

 「沖縄は47位、47位、46位、45位、45位となっている。特に『健康』と『文化』の分野は上位にある。国際領域も高い数値を示している。出生率、スポーツの活動時間、外国人宿泊者数は全国1位だ。一方で『仕事』『生活』『教育』の順位が低い。若者の完全失業率、正規雇用者比率、製造業の労働生産性などが全国最下位で、改善にいたっていない」

 

 ―指標に米軍基地に関するものがない。

 「基地を入れると、非常に政治色が強くなる。米軍基地の7割が沖縄に集中する中、数字が突出してしまい、大きく順位が変わってしまう。全体像が見えにくくなる。特異な例は避けている」

 

 ―講演で県民に伝えたいことは。

 「75の指標一つ一つを見るのではなく、指標は関連している。幸福度ランキングで重要なのは、順位そのものではなく、その数字から地域の強み・弱みに気付き、地域の幸福につなげる施策に向け活用することである」

 

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 まつおか・ひとし 1955年、徳島県生まれ。中央大学法学部、マラヤ大学大学院公共政策研究科(マレーシア)を卒業。日米のシンクタンクで研究員を務め、93年に日本総合研究所に入所。2018年から同研究所理事長。

 

琉球新報社で16日に講演会

 日本総合研究所の松岡斉理事長を講師に招いた「2020年版都道府県幸福度ランキングから見る沖縄」は16日(水)午後6時半~8時、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれる。主催は勁草塾沖縄事務所と琉球新報社。

 申し込みはファクス098(831)5875、またはEメールokinawa@keisoujuku.jp