沖縄研究奨励賞を発表 マンゴー病害グループ、県立芸大准教授の麻生氏、那覇商高教諭の小原氏


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澤岻哲也さん
麻生伸一さん
小原満春さん

 沖縄協会(野村一成会長)は10日、沖縄の地域振興や学術振興に貢献する人材の発掘と育成を目的にした沖縄研究奨励賞の第42回(2020年度)受賞者を発表した。自然科学部門に澤岻哲也県農業研究センター上席主任研究員(47)が代表を務めるマンゴー病害グループ、人文科学部門に麻生伸一県立芸大准教授(39)、社会科学部門に県立那覇商業高の小原満春教諭(43)の1グループ2個人が選ばれた。贈呈式は来年1月20日、那覇市のパシフィックホテル沖縄で開かれる。

 マンゴー病害グループは「沖縄産マンゴーに発生する炭疽(たんそ)病と軸腐病の発生生態の解明および防除技術に関する研究」で、マンゴーの表面が黒くなる炭疽病などを剪定(せんてい)や薬剤で効率的に防除できる方法を確立した。マンゴー産業の発展が見込まれ、独創性も高く将来性が期待された。

 麻生さんは「近世琉球政治社会史の研究」で、外交関係や王権関係を取り上げ、琉球が幕藩国家の儀礼体系に参画していった意味や家臣団と王権の関係性、政策決定方法を考察した。琉球と日本(薩摩、幕府)の支配関係を明らかにし、資料や蓄積の乏しい分野に取り組んだ研究として評価された。

 小原さんは「沖縄県における観光経験とライフスタイル移住の関係に関する研究」で、移住者が人口増加の要素となっている点に着目し、移住者を募る自治体が仕事や住居支援をすることで移住促進に効果的であると結論付けた。

 同賞は沖縄を対象に研究する50歳以下の新進研究者が対象で、全国から11件の推薦応募があった。