アリモドキゾウムシ 津堅で根絶間近 来年3月「宣言」見込み


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アリモドキゾウムシ(県病害虫防除技術センター提供)

 サツマイモなどのイモ類に寄生し、害を与える病害虫「アリモドキゾウムシ」の津堅島(うるま市)での根絶事業で、国が5月から実施していた駆除確認検査が11月9日に終わり、半年にわたってアリモドキゾウムシが確認されなかった。アリモドキゾウムシの生息域から津堅島を除外する農林水産省令改正の手続きに向け、農林水産省那覇植物防疫事務所が報告書などの準備に入っており、早ければ2021年3月に「根絶宣言」ができる見込み。津堅島で根絶が宣言されれば、久米島に次いで2例目となる。

 アリモドキゾウムシは熱帯、亜熱帯地域に分布し、国内では奄美・南西諸島と小笠原諸島に生息している。沖縄では昔から「イリムサー」と呼ばれ、サツマイモが食害されると、サツマイモに異臭や苦み、変色が生じ、品質が悪くなる。

 県は県病害虫防除技術センターを中心に、2007年から駆除作業を実施してきた。雄を誘引して薬剤で駆除するフェロモントラップや、不妊虫を放って繁殖を抑えるなどして、地道に虫の数を減らしてきた。

 津堅島での根絶は、たびたび「間近」とされてきたが、度重なる発生で駆除作業は仕切り直しになっていた。今年5月まで1年以上寄生ゼロが続き、根絶が見込めることとなったため、最終確認として国による駆除確認検査に移行した。国は島内にトラップ約140個を設置し、約半年をかけて、アリモドキゾウムシの寄生がないことを確認した。

 農水省消費・安全局植物防疫課によると、本年度末に専門家を集めた公聴会を開き、問題がないと確認されれば、省令を改正して津堅島が発生区域から除外される運びだという。

 農水省那覇植物防疫事務所の久保博之次席植物検疫官は「アリモドキゾウムシがいなくなることで、サツマイモが作りやすくなる。地元の生産が活性化することが期待できる」と話した。