糸満市伊敷の自然壕から遺骨2体 沖縄戦の犠牲者か DNA鑑定で身元特定の可能性


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女性の遺骨と見られる下顎骨(上)と上腕骨について調べる「ガマフヤー」の具志堅隆松代表=糸満市伊敷

 【糸満】糸満市伊敷にある自然壕(ガマ)で11日、沖縄戦当時のものとみられる遺骨の一部が見つかった。遺骨の形状や大きさなどから女性1人と男性1人の遺骨とみられる。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)のメンバーが発見した。

 遺骨はガマの入り口付近と奥側で集中して見つかった。入り口付近には下顎骨(かがくこつ)と上腕骨、耳の部分に当たる両側の側頭骨などがあり、下顎骨には歯が数本残っていた。近くにはジーファー(かんざし)などの遺品もあった。具志堅さんは「上腕骨の大きさや遺品を見て女性の遺骨に間違いない」と伝えた。DNA鑑定に有用な側頭骨が完全な形で残っているため「鑑定で身元が特定できる可能性がある」と期待した。付近で小さな肋骨(ろっこつ)も見つかり「子どもの可能性がある」とした。

 奥側で男性とみられるかかとの骨(踵骨(しょうこつ))なども発見し、日本軍の軍服のボタンや、きせるなどの遺品も付近で見つけた。具志堅さんは「軍民混在の壕だったと推測できる」と述べた。

 具志堅さんは激戦地の糸満市が、辺野古新基地建設工事の埋め立て土砂の採取先になっていることに触れ、「今日だけで2人の遺骨が見つかった。これだけ多くの遺骨がまだ眠っているということを多くの方々に知ってほしい」と語った。ガマフヤーでは12日も現地で遺骨収集作業を続けるという。

遺骨の近くで発見されたジーファー