日本新の宮本、コロナ禍で遂げた進化 「最低限の数値」満足せず 全日本重量挙げ 


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男子73キロ級 スナッチ日本新の155キロを成功させる宮本昌典=11日、新潟県のニュー・グリーンピア津南体育館(古川峻撮影)

 重量挙げの第80回全日本選手権・第34回女子選手権は11日、新潟県のニュー・グリーンピア津南体育館で開幕し、男子73キロ級の宮本昌典(沖縄工高―東京国際大出、同大職)がスナッチ155キロ、ジャーク190キロ、トータル345キロで2連覇した。スナッチとトータルで自身の日本記録を4キロ更新し、大会4度目の栄冠。男子67キロ級の糸数陽一(豊見城高―日大出、警視庁)はスナッチ130キロ、ジャーク165キロのトータル295キロで3年ぶり6度目の頂点に立った。(古川峻)

 スナッチ最終で152キロが電光掲示板に表示されると「日本新への挑戦」とアナウンスされた。男子73キロ級で151キロの記録を持つ宮本昌典は155キロへと重量変更。待機所から気合の声を場内に響かせる。「いつも以上に気持ちを高ぶらせた」。

 場内の視線が集まる中、深呼吸やガッツポーズなどいつものルーティンでプラットホームに向かう。ぐぐぐっと持ち上げて成功させると、両手を上げて拍手に応えた。

 五輪メダル圏内と想定する「トータル350キロしか頭になかった」。ジャークでも2本目で自身の日本記録190キロを成功させ、最後はトータルで目標達成となる195キロに挑戦。しかし、クリーンで立ち上がることができず失敗した。「目標の年内達成を有言実行できず悔しい」と反省するが「立ち上がれば最後は差せた」と十分な手応えを得た。

 コロナ禍は宮本を強くした。マシンを使ったスクワットなど下半身の強化にじっくりと取り組んだ。指導を受ける三宅義信監督に出会った時に言われたトータル360キロも視野に入ってきた。

 「当時は絶対に無理だと思っていたけど、本当に近づいている」と師の見立て通りに進化を遂げつつあることに充実感をにじませる。満足はまだだ。「350キロは最低限の数値。ずば抜けている世界1位を食う気持ちでいく」と五輪へ向けて鍛錬を続ける。