沖縄県内の子牛価格は平均70万円台 前年比2%増 消費換起策が影響


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 12月に県内各地で行われた子牛の競りで、1頭当たりの平均取引価格が11月の実績に比べて3万8321円(5・7%)上昇の70万1978円(税込み)になった。70万円台になるのは2019年11月ぶり。前年同月と比べて2・3%高い。例年、年末にかけて競りの価格は上昇する傾向があるが、Go To キャンペーンや、学校給食に和牛を提供する事業など、政府が打ち出す消費喚起策が取引を後押ししている。

 14日までに八重山、今帰仁、南部、宮古、多良間の5家畜市場で12月の競りを終えた。平均価格が最も高かったのは今帰仁市場で、75万9047円だった。

 新型コロナウイルスの影響で枝肉需要が落ち、肥育農家で牛が滞留したことで子牛の需要が減少していた。緊急事態宣言下の5月の競りは、県平均の子牛価格が51万円台まで下がった。6月以降、子牛価格は不安定に推移していたが、9月以降は上昇している。

 子牛価格の急激な回復に、県畜産振興公社の仲村敏専務は「肥育農家では牛の出荷がようやく動き、子牛を導入しようとした矢先に、子牛価格が高騰している。肥育農家にとっては手放しに喜べない状況だ。経営を工夫しないと厳しいだろう」と分析する。

 1月の子牛価格は例年、12月の反動で下がり気味にある。仲村専務は「大きな落ち込みはないだろうが、Go To キャンペーンが停止すると流通も影響する。まだ楽観視はできない状況だ」と話した。