中古マンション価格12年で倍、低金利が投資促す りゅうぎん総研調査


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 りゅうぎん総合研究所(照屋保社長)は18日、沖縄県内の中古マンション価格に関するリポートを発表した。県内で面積70平方メートルの中古マンションの平均価格は2020年10月時点が3185万円で、08年10月に比べて1655万円上昇しており、12年間で価格が倍増していた。同期間の上昇額は47都道府県で最大だった。好調だった観光産業が県経済を牽引(けんいん)しつつ、金利低下など資金調達がしやすい環境も民間投資を呼び込み、価格の急上昇につながったとみられる。

 調査は中古マンションの流通価格と平均築年数を基に、沖縄と全国の値を分析した。08年10月~20年10月の12年間で1000万円以上価格が上昇したのは、沖縄と東京都(1261万円増)、京都府(1226万円増)の3都府県だけだった。

 首都圏と沖縄の価格差は08年に約1500万円だったが、20年は約550万円に縮小している。福岡と首都圏は約1700万円の価格差を維持しており、他地域と比較しても沖縄の価格水準は急速に上昇したことがうかがえる。

 08年1月と20年1月のマンション平均築年数を比較したところ、首都圏は08年に18年だったのが、20年は26.5年と約8.5年延びている。一方、県内は08年は15.3年、20年は17.3年でほぼ変わらなかった。旺盛な住宅需要を受け、新築マンションの供給が相次いだ影響を反映しているとみられる。

 リポートは平均価格と築年数から各都道府県の傾向を(1)標準的なグループ(2)築年数の経過に対し価格が下がりにくいグループ(3)築年数が短いが、価格が低い水準のグループ―に3分類して分析、沖縄は「標準的なグループ」に位置付けている。

 今後は景気後退による住宅需要の減退により新築物件が減るため、平均築年数が長くなると予想。

 りゅうぎん総研は「築年数の経過に対して価格を維持できるかが今後の注目点となる」との見解を示した。