21年度予算案、辺野古の軟弱地盤工事費に214億円 設計変更の承認待たず


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 【東京】政府は21日、2021年度予算案を閣議決定した。名護市辺野古の新基地建設に関連し、防衛省はこの予算案で、大浦湾側で確認されている軟弱地盤の改良や護岸工事などの費用として214億9400万円(契約ベース)を盛り込んだ。沖縄防衛局が県に提出した変更承認申請に対する承認が必要な事業費だ。県が申請を認めることを前提とした予算計上で、地元の意向を問わずに工事を進める姿勢を鮮明にした。一方、総額3010億円、沖縄振興一括交付金を大幅に減額する沖縄関係予算案も決定した。

 岸信夫防衛相は同日の会見で「変更承認後、速やかに工事が進められるように必要な予算を計上した」と述べ、移設工事の推進に強い意欲を見せた。

 契約ベースの214億9400万円は複数年にまたがる予算で、21年度は55億3500万円の支出を見込んでいる。

 経費の中には地盤改良のほか、護岸工事や仮設の作業ヤードを設ける費用を含む。県が申請を認める時期が遅れた場合には、21年度は工事契約にとどめ、22年度以降の工事の準備段階とすることも想定する。

 大浦湾側の工事に関し、防衛省は18年度予算で護岸建設の経費を盛り込んだが、軟弱地盤の影響で執行できず、19、20年度予算でも計上を見送った経緯がある。19年12月に軟弱地盤問題に対応するため工法を見直し、移設事業完了までの期間は12年、総工費は9300億円に膨らんだ。今年4月には沖縄防衛局が設計変更を県に申請したことを踏まえ、予算計上した。

 ただ、地盤改良に関する事業の執行は県に提出した計画変更の承認申請が認められることが前提となる。

 防衛省は「承認がもらえるだろうとの想定で、1年次に始める工事費を計上した」と述べ、工事を急ぐ姿勢を強調するが、申請は既存の埋め立て計画を大幅に見直す内容。県は申請を不許可とする公算が大きい。不許可の場合は再び法廷闘争が行われることも想定され、21年度中の着手は見通せない。

 軟弱地盤の改良を含む米軍普天間飛行場の代替施設建設関連の経費は本年度比40億4900万円増の820億5500万円(契約ベース)となった。