那覇市議会の議場で24日、バレエ「ロミオとジュリエット」が上演された。市議ら関係者が議場で鑑賞したほか、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも生配信され、130人が視聴した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で表現の場が制限されている芸術家と観衆がエールを送り合う、文化庁の「ジャパン・ライブエール・プロジェクト」の一環。
ライブエール・プロジェクトは全国27地域で展開されている。那覇市では「ロミジュリ!~那覇の街を走り出す~」と銘打ち、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を題材とするワークショップや舞台映像の配信に取り組んでいる。
「ロミジュリ」の企画制作を務める「ビューローダンケ」の渡久地圭代表は、議場公演について「論理的に物事を決める議場に感性を重視する芸術を持ち込み、化学反応を起こしたかった。市民の代表である方々に芸術に触れてほしいという思いもあった」と話す。
議場公演は久高友弘議長が「開会」を宣言して開幕。冒頭はダンサーが現代の服装でマスクをして現れ、手指消毒などを取り入れた振り付けで踊った。演出の江上悠さんや出演者らの「今を生きるわれわれなりのロミジュリを作ろう」との思いを形にした。人と人の触れ合いが制限されるコロナ禍の状況を、引き裂かれながらも愛し合うロミオとジュリエットの姿に重ねた。
終演後、渡久地さんは「この1年、いろんなアーティストが『芸術文化は不要不急のものなのか』『僕らにできることは限られているかもしれない』と思い悩んだ。そういう状況を乗り越えて、われわれの思いが社会と結びついて今日を迎えることができた。芸術文化の価値をしっかりと社会の中で共有できたらいい」と話した。
鑑賞した県ユネスコ協会の東良和会長は「予想をいい意味で裏切る内容だった。すごく勇気をもらった」と話した。自身も一部出演した上原仙子(ひさこ)市議は「こういう機会を通して市民が議会に足を運びやすくなるといい」と期待した。
1月には集大成としてパレット市民劇場で「ロミオとジュリエット」を上演し、収録した映像を同月30日から配信する。これまでのワークショップのダイジェストはユーチューブの「那覇文化芸術劇場なはーと」チャンネルで公開している。