同意書の記載は特定の人々を、その属性で排除する内容だ。日本国憲法14条では法の下の平等がうたわれ、私たちが人種や性別等によって差別されないと書かれている。これは差別の理由の例を示しているだけで、性的指向や性自認等のセクシャリティに関する差別も、ここに含まれると考えられている。しかし、憲法はあくまで「国が」私たちを差別してはいけないと述べているだけで、基本的に個人間に直接は適用されない。
一方、不動産所有者には誰をそこに住ませるかを決める権利がある。それでも国籍差別については、家主側が差別を理由に損害賠償を命じられたケースが国内でも複数ある。
ヨーロッパなどでは総合的な「差別禁止法」を持つ国が多い。差別の理由ごとに作っていた法律を一つにまとめる形だ。多くの国は差別禁止法の中に、性的指向や性自認等による差別を入れている。法律は私たち個人の行動に適用される。法律で禁止してしまうと、差別の理由を隠して差別が続いてしまうという意見もある。それでもセクシャリティによる差別はいけないと、法律にはっきりと書くことには意義があるのではないか。
持って生まれた属性で一律に排除されることは、大人でもとてもつらい。性的少数者の子どもたちもいることを忘れないでほしい。自分のせいで家族がそこに住めないと知った時、どれほどのショックを受けるだろうか。差別されることの理不尽さを痛いほど知っている沖縄だからこそ、ここから社会を変えていけたらと思う。
(ジェンダー法)