精神障がい者を閉じ込める「私宅監置」描いた映画 来春の上映決定 証言追加し再構成


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再現された小屋で撮影された映画のワンシーン(提供)

 精神障がい者を小屋などに閉じ込め隔離する「私宅監置」をテーマにした、ドキュメンタリー映画「夜明け前のうた」の上映スケジュールが決まった。来年3月20日に東京・新宿の映画館「ケイズシネマ」を皮切りに、4月3日から那覇市の桜坂劇場でも上映する。そのほか、全国各地で順次上映する予定。

 私宅監置は日本では精神衛生法が制定された1950年に禁じられたが、米統治下にあった沖縄では日本復帰の72年まで残った。監置所は県内各地に設置され、劣悪な環境に閉じ込められた障がい者らは自由と尊厳を奪われた。

 映画は県内で私宅監置の問題を追い続けてきた、フリーテレビディレクターの原義和さんの初監督作品。今年春に完成したが、新型コロナウイルスの影響で上映準備が遅れる間に新たな当事者の証言が得られ、追加取材分を加え再構成した。映画公開に合わせ、来年3月30~4月4日に那覇市ぶんかテンブス館で写真展など関連イベントを開催する。

 上映に向け今月17日、県精神保健福祉会連合会(山田圭吾会長)の会員らで構成する実行委員会の会合が宜野湾市内であった。本島北部には実際に監置に使われた小屋が1カ所残っており、実行委は上映期間中の見学会開催も検討する。

 原さんは「私宅監置は過去の問題と勘違いされがちだが、差別や排除は今の問題でもある。重大な人権侵害をなかったことにすることに、あらがうためにも大切な遺構を保存する意識を高めたい」と強調した。