古紙、売却から処理費負担へ 沖縄県内21市町村が「逆有償」に 琉球新報アンケート


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 これまで自治体などが古紙問屋に売却していた古紙(新聞紙・雑誌・段ボールなど)に関して、2020年度以降、古紙問屋に処理費用を支払う「逆有償」に転じた自治体が県内に21市町村あることが30日までに、琉球新報社の全自治体アンケートで分かった。古紙の売却は自治体の収入になっていたが、今後は処理費用の負担で財政に影響を及ぼす可能性もある。

 多くの自治体は回収業者と委託契約を結び、各家庭から資源ごみとして出された古紙を集めて、古紙問屋に売却している。古紙問屋は国内の製紙企業や海外に古紙を出荷し、再生紙などにリサイクルされる。

 しかし主な出荷先だった中国が、2020年末までに古紙の輸入をゼロにする方針を打ち出した。関係者によると、新型コロナウイルスの感染拡大で物流が停滞し、輸送コストなども上昇した。古紙の取引価格も不安定で、処理費用を受け取る方針に転換せざるを得ない問屋が出ている。

 県内の自治体関係者は「処理費用を払う状況が長く続き、財政を圧迫することになれば、古紙回収の費用負担を住民にお願いすることもあるかもしれない」と語る。

 アンケートによると、逆有償に転じた21市町村では1キロ単価で2~7円(20年12月時点)の処理費がかかっている。古紙問屋が無償で回収するのは7市町村、現在も売却して収入を得ているのは5市町村だった。残り8町村は全て離島区域で、可燃ごみとして処理している。

 個人や団体が問屋へ持ち込んで売却していた古紙が、値が付かないことから家庭ごみとして出されるようになり、自治体の回収量が増加している現状もある。北部の自治体は「可燃ごみとして(古紙を)処理することも検討するかもしれない」と頭を抱え、別の自治体は「打開策が見つからない。自治体だけで解決できる問題ではない」と悲鳴を上げた。

 沖縄地区税関の発表によると、18年の古紙類の海外輸出量は12万1760トンで金額は約24億6100万円(そのうち中国へは14億100万円)だった。19年は12万485トンで金額は約15億8000万円(中国へは4億3800万円)となっている。

(嘉数陽)