宮古島市長選の立候補者がクロス討論 2氏が相手の政策や訴えを回答


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 【宮古島】10日告示、17日投開票の宮古島市長選は投開票まで10日となった。立候補を予定する無所属現職の下地敏彦氏(75)=自民、公明推薦=と無所属新人で前県議の座喜味一幸氏(71)=社民、社大、共産、立民推薦=の政策論争は熱を帯びている。琉球新報は7日までに、両氏から相手候補の政策や訴えに関する質問を募り、200字以内で回答してもらう紙上クロス討論を実施した。両氏の質問と回答を紹介する。 (敬称略)

(左から)下地 敏彦氏、座喜味 一幸氏

■座喜味氏からの質問「新庁舎事業費、比較を」

―下地敏彦氏「契約内容や単価妥当」

 座喜味 家賃や建築単価(宮古島100万円/坪、本島80万円/坪)高騰など市民にとって住みにくい住環境になっている。これまでの市の公共投資が不適当だったのではないか。

 下地 家賃や建設単価の一時的な上昇は、国や県の公共事業および観光関連施設の投資などが影響しており、市の公共事業が直接の原因ではない。公共事業は行政サービスの向上を図るため計画的に行われるものであり、県内の建築ラッシュなどを理由として事業の延期や中止をすれば、市民の利便性を損なうことになる。家賃や建築単価は現在、需要と供給のバランスが改善傾向にあることから、今後、安定していく。

 座喜味 新総合庁舎建設について、13億円追加の契約変更は労務費と機械料が要因となっているが、当初からその費用を含めた前提で落札されているのではないか。類似規模の市と比較して規模、事業費の妥当性はあると考えるか。

 下地 工事を発注する際、特記事項として「地域外からの労働者確保に要する費用」に関することは示している。契約の変更が生じる可能性がある内容であり、指名通知を受けた6社全社に周知してる。類似市との比較について、保健センターや上下水道部の併設など整備内容が異なるため単純に比較できない。現在整備が進められている類似市(石垣市)の1平方メートル当たりの単価が約56万円に対し、本市新庁舎の単価は約53万円であり、妥当なものだ。

 座喜味 クルーズ船対応ターミナル整備はカーニバル社が実施するとなっていたが、なぜ港湾会計で市が実施主体となったのか。運営管理と採算の見通しについて具体的に伺いたい。

 下地 2017年7月に国の指定を受け、市とカーニバル社の共同で官民連携で整備している。現在、受け入れ施設の建設位置についてカーニバル社と協議中であり、合意に至るまでの間、市が必要最小限の整備を行った。運営管理と採算については、施設使用に係る係船料をこれまでの1トン当たり3円から14円に引き上げることで採算を図っていく。

■下地氏からの質問「観光客に検査、効果は」
―座喜味一幸氏「コロナの拡大防げる」

 下地 コロナ対策として県外からの観光客にPCR検査と3日以内の陰性証明書提出を求めるとするが、事業主体は県か市か。それで感染が防げるなら保健所や病院を持っている国や県が実施していないのはなぜか。

 座喜味 医療体制がぜい弱な宮古島への感染拡大防止のためにも、県外からの来島者に対して実施する。市が事業主体となり国や県の補助金を活用しながら観光・航空会社と連携する。PCR検査で感染者と非感染者を早急に区別することが拡大防御となり、経済活動を回復させるベターな方法だ。国や県が実施していないことについては台湾や韓国などと比べ対策への認識の甘さや体制、人的財政投入の不十分さがある。

 下地 市民所得10%向上の実現について、コロナ終息はまだ見えず雇用喪失や会社の倒産が増え、景気が減速する中でどう実現するのか。現実とかけ離れた政策と思うが、具体的な方策を提示願いたい。

 座喜味 コロナ対策で防御体制が確立すれば経済活動は回復に向かう。コロナによる1次産業への影響は小さいものの、支援や振興策を講じて農業所得を上げる。食品加工など農水産物の6次産業化も所得向上の柱になる。ダメージの大きい観光関連業についてもコロナ対策を迅速にやることで回復を図り、市としても緊急支援策を講じる。新たな観光やIT関連産業を創出し雇用拡大を進める。

 下地 旧町村に支所機能を戻し再編するとは、従来の分庁方式を継続するのか。再編する理由を分かりやすく具体的に示してほしい。分散している業務を集約することで連携が強化され充実した市民サービスができると考えるが、いかがか。

 座喜味 旧5市町村の合併時に、最も心配された一極集中による地方行政サービスの低下の問題がそのまま現実となっている。旧町村の均衡ある発展のためには総合機能を含む統括サービス窓口を設けて、行政サービスの向上を図る必要がある。行政ほどテレワークシステムを駆使して合理化とサービス向上に努めるべきだ。