反戦、平和への思い新たに 糸満で戦跡巡り、90歳が体験談「戦争を終わらせるのも人間」


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教員らが参加したフィールドワークで沖縄戦について説明する大城藤六さん=12月27日、糸満市

 【糸満】沖縄戦を生き延びた大城藤六(とうろく)(90)さんの体験を通して歴史を学び平和教育に生かそうと、12月27日、糸満市内の戦跡や碑を巡るフィールドワークがあった。沖縄市平和ガイドネットワークと中頭支部平和教育研究会が主催。現役教員や平和ガイドら約35人が参加し、反戦、平和への思いを新たにした。

 参加者は大城さんの体験を聞きながら、糸満市真壁公園内の戦跡や、市真栄平の南北の塔などを歩いた。

 大城さんは15歳の時、真栄平で沖縄戦に巻き込まれた。当時「軍国少年」だったことや、日本軍による一家虐殺の実態などを説明した。戦後は教員をしながら、語り部としても活動する中で、遺族から「もう話さないでほしい」と言われることもあるとし、継承の難しさも語った。「戦争を始めるのも人間、終わらすのも人間だ。戦争は二度とやってはいけない」と参加者へ訴えた。

 教員の夫と共に参加した球陽高教諭の伊志嶺佳子(よしこ)さん(44)は「話を聞くだけではなく、実際に歩いて見るのは全然違う。フィールドワークの大切さを感じた。今後、子どもたちにどう伝えていくかが課題だ」と感想を語った。

 2、4、6歳の子どもと共に参加した西原町立坂田小教諭の城間吉主(よしきみ)さん(38)は「体験者の声を直接聞く機会が無くなってきている。戦争放棄、民主主義、基本的人権の尊重をうたう憲法をしっかりと教育現場に反映したい」と語った。