〈61〉糖尿病網膜症や緑内障 点眼継続、定期的通院を


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 皆さんはさまざまな理由で病院やクリニックを受診すると思います。患者さん自身が感じている症状だけではなく、診察の結果、予期しない病気の発見があることもしばしば経験します。そして、中には放置すれば失明する病気が含まれることは言うまでもありません。

 眼科では基本的に点眼薬を処方することになりますが、病気と一言で言っても、治る病気と完全には治らない慢性病に分かれます。治らないとは言ったものの、お薬で改善する病気が多いのは事実です。そして、慢性病の方が頻度的に多いのも事実なのです。

 慢性病の考え方として大切なことをお伝えします。目の組織は治る組織と一度ダメージを受けてしまうと二度と元に戻らない組織があるため、慢性病は「悪化させない」という観点が非常に重要なのです。点眼などの加療で症状が改善し治ったと思うかもしれませんが、医師が治ったと判断するまでは、医師の指示なく点眼を含めお薬をやめないようにお願いします。

 なお、病気が進行しているのか改善しているのかは、患者さんの話を聞いて予想することはできますが、診察してみないと実際には分からないことですので、良い状態を継続するためにも定期的な通院が必要となります。

 よくある例を紹介します。糖尿病網膜症や緑内障の患者さんが点眼やその他の加療をしているものの、状態が良く、症状を感じないという理由で自己判断で通院をやめた結果、数カ月から数年後に見えづらさを自覚し再度受診するということがあります。その際には病気の状態として末期となっていることもあるため、その後の治療のかいなく、失明または社会的失明の状態に陥ってしまうことがあるのです。

 コロナ禍で受診が遠のいてしまうというのも理解できますが、その他の病気が取り返しのつかないことになれば本末転倒ですので、目薬および定期的な通院の継続をよろしくお願いします。

(松永道男、読谷松永眼科)