コロナ以外の重症者を沖縄本島移送へ 八重山病院が県と調整 コロナ増で病床確保


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
県立八重山病院

 【石垣】県立八重山病院などは12日、県八重山事務所で会見を開き、新型コロナウイルスの重症患者が増加した場合の病床確保などに備え、新型コロナ以外の疾病の重症患者を本島の病院に移送する方針で県コロナ対策本部と調整していると明らかにした。八重山地域で中等症以上の新型コロナ感染者が増加しているため。同院は「危機的状況に突入している」(篠﨑裕子院長)と、重症者の増加が医療崩壊を招く危険性があるとの認識を示し、市民に感染予防対策を徹底するよう呼び掛けた。

 石垣市内では年末から、重症化しやすい中高年層の感染者が増加。八重山病院では一般病棟から職員を一時的に移してコロナ対応に当たっている。一般病棟の運営にも影響を与えており、12日からは一部手術も延期している。

 本島への移送が検討される重症患者は、急性期の手術後に集中的な治療が長期間必要な重症患者を想定している。八重山では、中等症以上のコロナ感染者は八重山病院でしか受け入れができない。重症の感染者が増加した場合、非コロナ感染患者の方がコロナ患者に比べると本島での受け入れ先確保や搬送が容易なことを踏まえて、移送方針を決めた。
 八重山病院には12日現在で重症2人、中等症2人を含め14人の新型コロナ患者が入院している。同日には、人工心肺装置「ECMO(エクモ)」での治療対象となる重症者1人を初めて本島に移送した。

 八重山病院と合同で会見を開いたかりゆし病院(石垣市)の境田康二院長は、濃厚接触者以外の新規感染者を発生させないことが重要だとし、「昨年4月に市が緊急事態宣言を出した時のような緊張感で、ぜひ2週間は行動を自粛してほしい」とした。

 同席した中山義隆市長は「状況としては『医療崩壊危機宣言』だ」と危機感を示し、月末まで不要不急の外出を控えるよう求めた。