牛の感情分かる、バイオ苗研究、農業を6次化… 琉球大に合格した南部農林高生が語る将来の夢


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学校で飼育する牛に水を飲ませる(右から)當間弓月さん、大城哲也さん、棚原怜央さん=7日、豊見城市長堂の南部農林高校

 南部農林高校の生徒3人がこのほど、琉球大学農学部に学校推薦型選抜で合格した。南農における3人以上の琉大合格者は14年ぶり。畜産農家に生まれて畜産業研究者を志す生徒、植物好きで自宅の庭を森のようにした生徒、農家を辞めた親の話を聞いて農業経済を学ぶと決意した生徒と、いずれも個性豊かな面々だ。

 當間弓月さん(18)は子牛を出荷する畜産農家の長女。當間さんが生まれた年に父親が牛を飼い始め、幼いころから牛の世話を手伝いながら学校に通った。「牛は感情豊か。競りに出す時、牛も大泣きする」と牛の感情を理解するまでになった。

 自らの成長に伴い、牛が家計を支えていることを理解した。最近は「バイヤーから『出荷した子牛がA5ランク、BMS12(霜降り度合いの最高値)に育った』と聞き、うれしかった」という。畜産農家の経営の厳しさも肌で感じ、「畜産業発展に貢献できる研究者になりたい」と自らを奮い立たせる。

 棚原怜央さん(18)は植物好きが高じ、自宅の庭が森のように生い茂っているという。ランが特に好きで、県北部ラン友会に所属し、展示会にも参加しているという。

 高校ではバイオテクノロジー部に所属。病気や害虫の被害を減らすため、甘藷(かんしょ)の品種「ちゅらまる」のバイオ苗の研究に取り組み、農業クラブ連盟大会などで多くの賞を受けた。大学でも植物の研究を続ける予定だ。

 大城哲也さん(18)は親が元農家。農業経営の難しさ、転職に至るまでを親から聞いた。豊見城市の行政運営を議論する市民会議に唯一の高校生として参加し、6次産業化を支援する職があることを知った。

 大学では農業経済学を学ぶと決意し、商業高校生でも難しい日商簿記2級を1年生で取得した。「農家は食を支える素晴らしい仕事だ。廃業せずにすむよう、農業経済学を勉強したい」と語った。